小学生の頃、親が持っていたサンソン・フランソワとポリーニの全曲演奏のレコードを聴いて虜になってしまったショパンエチュード作品10と作品25は、自分にとっては未だに至高の作品である。
作品10は5年ほど前に全曲をリサイタルで弾いた。
作品25は4,5,6,7,8,11,12は公開演奏で弾いた。
10-10と25-5はコンクールでも弾いた。
10-2、10-10、25-5、25-6、25-8は集中的にレッスンも受けている。公開レッスンも含め。
他の曲も何度となく弾いている。
ショパンエチュード全曲録音は20以上違う録音を聴いている。最新のはルービンシュタイン国際のトリフォノフを作品25だけだが聴いた。
そんな自分が作品10と作品25の全24曲中最も音楽として要求度が高い最難曲は作品10第11番変ホ長調である。
メカニカルに左右の分散和音を正確に弾くだけで難しいが、この曲はほとんど6声のポリフォニーであり、どの声部をどういうバランスで弾くか、どのラインをどう出すか、はとても難しい。
さりげなくアルペジオで書かれているので、どう弾くかで弾き手の理解の深さとセンスと技術が容赦なく試される。
左手は単なる手の都合で親指にアクセントが無意味についてはならない。
バスラインは常に重要である。
和声の変化による色彩とデュナーミクもどこまでも丁寧に。