コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

評論家はいらない

昨日朝の大阪北部を震源とする地震

毎度のことだが、学者やマスコミは評論している。

日本のどこでも起きる可能性がある、ブロック塀は危険、とかなんとか。

これも毎回のことだが、地震が発生してから「ここに断層が走っているんですね」とかいう。

さらには、「私が先日指摘したとおり」とまで言う学者もいる。

地震については学生時代の研究テーマであった。とは言っても地震の発生メカニズムそのものではなく、建物が地震波に対してどう応答し、どこまで地震に耐えられるのか、建物が損傷もしくは倒壊する確率を定量化する、というテーマであった。

東大地震研ともつきあいがあったが、その頃から一向に地震の研究は進んでいない。

結局のところ誰にも地震予知はできる状況には未だない。

毎年百億円オーダーの予算が地震関連に投じられているというのにである。

学者たちに言わせれば、「もっと観測網を充実させれば」ということらしい。確かにより多くのセンサーを設置すれば多くのデータはとれるし、地震についてより多くの情報が収集し分析できることは明らかである。しかし、である。分析できたところで何だというのか。自分たちの研究成果は出るかもしれないが、それが本来の目的ではない。地震被害を軽減できるのか(予知とまでいかなくとも)、が解決すべき課題なのである。もし予算が必要だというのなら、それが地震被害軽減にどうつながるのかを論理的定量的に示さなければならない。ある仮説があってそれを検証するためのアプローチと必要な作業(データ収集、分析など)を明らかにしていただきたい。

「今回の地震はこうでした」だけでは明らかに不足である。

スロースリップとか言ってるだけではだめなのである。

評論家はまったくいらない。

小規模不動産特定共同事業は普及するのか

いまのプロジェクトの関係で、小規模不動産特定共同事業について調べてみた。

まず、不動産特定共同事業とは、ある不動産に関する事業(開発プロジェクトや建物の取得・賃借等)を、複数の者が共同で行なう事業のこと(法令にはとても堅苦しい言葉で書かれているので、不正確ではあるが判り易く書いてみた)。

国土交通省が一枚に「わかりやすく」まとめている(わかりにくい)。

http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2017/252/doc/20170801_shiryou2_5.pdf

不動産特定共同事業法(不特法)というのが根拠法になっているのだが、この法律、これまで使い勝手が悪く(事業許可要件が厳しい)、あまり使われなかったということで悪評高き法律だったが、空き家の活用ニーズが高まる、不動産領域におけるインターネットの活用の広まりなど、社会状況が変化してきたことを反映して、2017年にやや大幅に改正されることになった。

この2017年改正のポイントの一つに、小規模不動産特定用同事業というのがある。

これについて国土交通省が「わかりやすい」(先ほどのPDF資料よりはわかりやすい)パンフレットを作った(いくらかけたのであろうか)。

https://www.vmi.co.jp/jpn/news/2017/12/h29stock-biz1228-pamp.pdf

これは国土交通省がかなり「反省」し、さきほどの事業者要件をかなり緩和したものになっている一方で、できることがかなり限られている。

そもそも出資総額の上限が1億円になっているということで、これでは1軒家しか投資できない。

また、そもそも資本金1,000万円以上で、宅建業者でなければこの事業を手掛けられないし、手続にも手数料やらコンサル料など支払うとなると、この程度の事業で得られる利益に対してコスト(と手間)が見合うのかどうかも気になる。

今日にでも国土交通省に電話して聞いてみようと思う。

(先日別件で農林水産省に電話した時は意外にも丁寧だったので国土交通省にも期待したい)

 

まずその前に上記パンフレットのみならず、実務の手引というのも出ているので目を通しておかなければならない。

基礎編: https://www.vmi.co.jp/jpn/news/2018/04/h29stock-biz1228-hb-basic.pdf

実務編: https://www.vmi.co.jp/jpn/news/2018/05/h29stock-biz0330-hb-practical.pdf

けっこうなボリュームである。

孤軍奮闘孤立無援

一流の職人でチームは組めない。

わが社がめざしているのはドリームチームだが、いざ自分が業務を担当してしまうとプロである以上クライアントの期待に全力で応えねばならず、全力である以上他のメンバーを助ける余裕はない。

他のプロからしても同じこと。自分の仕事は自分にしかできない。助けることはできない。

ポジティブに孤軍奮闘。

ポジティブに孤立無援。

チームにはならない。なり得ない。

不動産テック

なにやらフィンテックFintechに続きリアルテックReTechなる言葉が昨年あたりから言われ始めアドテック含め〇〇テックが氾濫している。

不動産という業界はITの活用、というよりデジタル化が遅れている領域と言われているが、大学の頃から建設CADをやり、建物や構造物の地震や風による振動とこれに伴う損傷を人工地震波をフーリエ変換で合成し確率論的に定量化する研究をやり、企業の研究でも制震アルゴリズムを開発し実験とコンピュータシミュレーションでやってきた、またPMLという指標を日本で始めて導入し建物の耐震信頼性を定量化した自分にとっては、何をいまさらという言葉ではある。

ただしIoTやブロックチェーンという新たな技術の商用化によって、可視化や効率化やデコンストラクションが広範に可能になったことは事実である。

昨年からそして今もAIやIoT、スマートフォンやスマートロックを活用した事業に関わっているので最先端の状況も把握しており、大手建設不動産ともつながりのある自分としては不動産テックの領域を引っ張る存在にならなければならない使命感を覚える。

どのテック領域もそうだが、デジタルとリアルの融合には既存old worldプレイヤーとnewな星たちを結びつけるところが難しくそこにこそ価値がある。まさに自分でなければできないポイントだ。

博多に来て思ったこと

今週はまたも1泊のやや弾丸出張で博多に来ました。

地元で不動産コンサルタントを務める先輩の街を見る視点が新鮮です。

博多の人の生態と街づくりについて実際に街をくまなく歩きながら東京との違いを考えさせられました。

博多のひとたちは、きちんと信号待ちをします。

赤で渡ることはもとより、フライングすることもありません。

歩く速度もゆっくりです。

東京とは対照的です。

ふと、自分は日頃何を焦っているのだろうと思いました。

いつも何かに追われているような動き方をしているんだと。

「時間に追われる」といいますが、時間は決して誰かを追ったりはしません。

そう思うのは単なるたとえであり思い込みに過ぎません。

どうせならこちらが時間を追えばいいのかもしれません。裁量はこちらにあるのです。

決して自分のペースを他の誰にも何にも決めさせてはならない。それでは決していい結末は訪れない。

マイペースで。

要領が良すぎる男

服部卓四郎という人物。

先日の日本近現代史勉強会で実際どういう人物だったかあらためて識者からうかがったが、実に極めて「要領が良い」男であったことは確かであるようだ。

服部卓四郎についてはこれまで多くの研究者や歴史愛好家が書いているのであらためて解説する必要もないしできないのだが、たとえば以下のようなソースを参照されたい。

 

https://www.amazon.co.jp/二人の参謀―服部卓四郎と辻政信-芙蓉軍事記録リバイバル-高山-信武/dp/4829502347

 

ブログ投稿もいくつか:

http://kojioka.blogspot.com/2010/01/blog-post_200.html?m=1

http://kajikablog.jugem.jp/?eid=530495

 

その服部くんがGHQの仕事としてまとめたのがこれ。

https://www.amazon.co.jp/大東亜戦争全史-服部-卓四郎/dp/4562040882

読む意味は無いと思われ。

 

自分も仕事がらビジネスの世界、内資でも外資でも、或いは官僚の世界でも、単に目から鼻に抜ける知性を持っているだけでない、抜け目ない(英語ではshrewd)機を見るに敏で要領が途轍もなく良い人物を数々見てきているが、この服部くんに比肩する人物はいない。これからも会うことはないだろう。

 

彼の罪は極めて重い。文字通り万死に値するだろう。

しかしその能力(運も含む)には刮目せずにはいられない。

日頃から人間の能力の限界を考えているものとしては、研究対象にしなければならない。見習うという意味では勿論ない。

 

 

 

 

イエメンで何が起きているのか

先週のThe Ecoomistの記事「いかにしてイエメンが地球上で最も悲惨な場所になったか~新たな湾岸戦争」のタイトルが目を引き読んでみた。

How Yemen became the most wretched place on earth - The new Gulf war

 

日本人のほとんどにはこれがどこまで「悲惨」なことか想像すらできないだろう。

自分にも想像できない。

 

政治も行政も安全保障も教育も医療も食事ですらシステムとして破綻している。

先日の脆弱国家リストでも最下位の一角。

国連はこういう状況こそ使命を発揮せねばならない。

国連がいま具体的に何をしているか調べてみよう。

 

玲瓏

羽生永世七冠がもうかれこれ10年以上抱いているイメージを表す言葉。

玲瓏。

明鏡止水と近いのかもしれない。

どの道であれ真剣勝負するならばこの境地に至るべきという心境。

何度もこの言葉を聴いてきた。

実感できるにはそれなりの、いや並大抵ではない努力と苦悶が必要なのかもしれない。

自分には到底無理だとずっと思ってきた。

しかしここにきて分かるような気がしてきた。

ピアノを通じて。

わずか3分の練習曲。

もう1,000回分は練習してきて、辿り着けないかもしれない境地に少しずつ近づいてきた気がする。

 

ムヒカ大統領の演説

ウルグアイのムヒカ前大統領の、2012年国連持続可能開発会議での有名なスピーチ。

www.youtube.com

スペイン語国連公用語の一つ)でのスピーチだが、英語のキャプションが付いているのでぜひご覧いただきたい。

先進国そして新興国を支配する消費至上主義こそを見直すべきという強い主張である。

持続可能な開発を論じるならこの大前提こそを見直さなければならないと主張できる先進国の首脳が果たしているだろうか。否。

ムヒカ大統領は"the poorest president"(最も貧しい大統領)などと呼ばれることがあるが、必ずしもそれは正しくない。

大統領公邸に住むこと(およびそこに使えるスタッフを使うこと)を拒み、資産は1987年製のフォルクスワーゲンビートル(20万円相当)のみ、首都モンテビデオの郊外に住み菊を栽培して販売し、大統領としての報酬の9割は寄付。この姿勢はおそらくポーズなどではなく自ら強く抱いている価値観を体現したものであろう。そのような大統領の口から発せられるものであるからこそ説得力がある。

だが実際にはこれに傾聴し、グローバルの潮流を変えるには至らなかったのであろう。

国連は国連としての仕事をしている。問題は加盟国側の努力如何であり我々の意識の変化と行動である。

自らの仕事の意義についても考えさせられた。自分の仕事の多くの部分は確かに経済と事業の成長を是としている。しかしムヒカさんの言うとおり、たとえばもしインドがドイツ並みに乗用車を保有したらどうなるか、確かにこれは地球環境に多大なる悪影響を及ぼすであろう。同じことが食に関しても言える。

未だに各国を分類するのに「開発途上」と呼ぶことがあるが、果たしてここでいう「開発」とは何なのか。何をゴールとするのか。そして「途上」とはどういうことか。どこまで「途上」なのか。

これほどに重要な問題を先進国とされる日本の国民として、既に人口減少社会になっており価値観の転換を迫られている者として、真摯に捉えなければならないと散歩しながらあらためて思った猛暑の土曜日であった。