コンサルの技シリーズ10回目はこれまたコンサルタントとしての総合力が問われるPMI(post-merger integration、買収後統合)を取り上げる。
PMIについては、コンサルタントとしても、また事業会社における実務の両面で携わっているので、その経験を活かして社外研修の講師も務めているが、研修で教えていることはコンサルタントとしての基本動作とPMIの重要性のコンビネーションである。
いまでこそ経営者も(日本電産の永守さんほど本心からそう言っているかは定かでないが)PMIの重要性を唱える人が増えてきているが、実際にPMIに十分に注力(少なくともクロージングまでに費やす経営資源を大きく上回る量と質の経営資源を投じなければならないにも関わらず)している企業は寡聞にしてほとんど聞かない。
理由は明快である。大きく2点:
新規事業同様、構造的な問題がここにある。
最近ではしかし、1番目は克服している日本企業は増えてきたように見える。しかしそういう企業に限って2を理解していない。自分でやってしまい失敗するのである。
経営のあらゆる側面に言えることだが、内製を大前提とするのではなく、ベストを尽くすにはどうするかを常に考えねば無責任である。
ましてM&Aという巨額の投資に対するリターンに無責任であっては当然ならない。
投資銀行はPMIにはまったく興味がない。それどころか堂々と「PMI嫌い」とまで言う方も実在するので実にわかりやすい。
PMI成功のポイントは3つ:
1. 100日プランの策定と確実な遂行における機動性と柔軟性とプライオリティの担保
2. アーリーウィンの創出
3. ビジョンの共有
これら全てに共通するのが十分なコミュニケーションである。
両社のトップから現場まで。部門横断的に縦横無尽に適時に適切なメッセージを伝え理解を促すことだ。
毎回メッセージは同じ。これぞコンサルの技の見せどころなのだ。