前回までの記事で、月刊ショパンに掲載されたイエルク・デームスの誌上レクチャーの冒頭で、イエルク・デームス氏が書かれていた「ショパンは調性に対して独自の感覚を持っていた人で・・・」とある点に、個人的にずっと思っていたことをはっきり言っていただいたと感じた。
氏いわく、「たとえば、ヘ短調のプレリュード18番にみられる深い悲しみと絶望感は、ヘ短調バラードやヘ短調ノクターン(著者追加:ピアノ協奏曲第2番もヘ短調)にも感じられるものです。ショパンの他の作品を弾くときに、同じ調性のプレリュードを弾いてみると、曲の性格がつかめるということもあるのです。」
そこで、作品28の各曲と、ショパンの作品のうち比較的規模の大きいもの(すなわちエチュードやワルツ、マズルカなどを除く)と調性が同じものを列挙してみる(網羅的ではない)。
第2番 イ短調: ー
第3番 ト長調: アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ作品22よりアンダンテスピアナート
第4番 ホ短調: ピアノ協奏曲第1番作品11
第5番 ニ長調: ー
第6番 ロ短調: ピアノソナタ第3番作品58、スケルツォ1番作品20
第7番 イ長調: ポーランド民謡の主題による幻想曲作品13、演奏会用アレグロ作品46
第10番 嬰ハ短調: スケルツォ3番作品39、幻想即興曲作品66
第11番 ロ長調: ー
第12番 嬰ト短調: ー
第14番 変ホ短調: ー
第15番 変ニ長調: 子守歌作品57
第16番 変ロ短調: ピアノソナタ第2番作品35、スケルツォ第2番作品31
第17番 変イ長調: バラード3番作品47、即興曲1番作品29、英雄ポロネーズ作品53、幻想ポロネーズ作品61、タランテラ作品43
第18番 ヘ短調: 幻想曲作品49、ピアノ協奏曲第2番作品21、バラード4番作品52
第19番 変ホ長調: アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ作品22より大ポロネーズ、序奏とロンド作品16
第21番 変ロ長調: ドンジョバンニのお手をどうぞの主題による変奏曲作品2、華麗なる変奏曲作品12
第22番 ト短調: バラード1番作品23、チェロソナタ作品65、ピアノ三重奏曲作品8
第23番 ヘ長調: 演奏会用ロンド作品14、マズルカ風ロンド作品5、バラード2番作品38
第24番 ニ短調: ー