コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

経営コンサルという仕事(5)フリーが良い?

経営コンサルの中には何万人ものプロフェッショナルを抱える大企業から個人でフリーランスとしてやっておられる方まで規模は様々です。

クライアントから見て、規模は関係あるのかないのか、あるとすればどう関係あるのでしょう。

まずはフリーランスの立場に立って(自分と逆の立場なので推測ですが)考えてみたいと思います。

 フリーランスが企業コンサルよりいいところ:

1 報酬が全て自分のもの……たとえば組織に属するコンサルの場合、クライアントに5万円チャージしても自分の報酬は1万円程度です。もちろん仕事は取って来なければなりませんが、仮に1/5の仕事しかとれなくても、或いは単価を1/5にしても収入は変わりません。仕事の量が半分で半額で売っても今より収入多いことになります。

2 人を採用し育成する必要がなく時間も取られない……筆者は会社で人材育成担当を務め、オリジナルのトレーニングプログラムと教材を作成して新人にスキルを伝授しています。自分の経験の詰まったものを簡潔にまとめたもので、作成にも相当な時間をかけたし、伝授にも時間がかかります。これをむしろクライアントに提供する方に向けることができます。

3 自分でプロジェクト設計し自分のペースで仕事ができる……コンサルのプロジェクトはワークプラン作成が命なのですが、最近のプロジェクトはワークプラン作成が難しいです。クライアントの要求が高度になりまたアジャイル型にもならざるを得ないのです。なので最近の若手中堅にはとても無理です。下手なものを作ってプロジェクト危機招くより自分がやった方がベターです。

4 プロジェクトで得た情報や知識は全て自分の糧になる……本来はプロジェクトチーム各メンバが得た知識はチーム全体がタイムリーに共有すべきなのですが、個々のメンバのコミュニケーション能力が制約となり実際には半分も共有されず、せっかくの生きた情報がムダになります。自分1人でやっていればこのムダは省けます。

5 組織内の手続や雑用に惑わされない……本来経営コンサルはクライアントに対して限られた経営資源の最適な活用を指南し促すのが仕事です。が組織というものはその運営存続のためどうしても会議は必要です。しかしたとえ必要な会議であっても、全てが売上に直結する訳ではなく、手続のための会議というものも不可欠なのです。

6 組織内の政治に巻き込まれない……会社として順風満帆な時は少ないのですが、逆風が吹いてくると足の引っ張り合いが顕在化します。前職ではそれがシニアスタッフの退職を多く招き負のスパイラルに入りました。1人でやっていればこんなことはありません。せいぜい自分が自分の足を引っ張るだけです。やりたければですが。

7 仕事の取り合いがない……パートナークラスになるといろいろなパターンで仕事の取り合いが発生します。前職の外資系では通常複数のパートナーが絡むので取り合いというより貢献度の取り合いぬなります。大きな案件で確度が高いものになるとなぜか途中から新たに絡むパートナーが続々現れたりします。また、あるクライアントに複数のパートナーがコンタクトある場合、ひどい時には「それ俺に断ってないだろ」とか横槍入ったりします。案件には関わってなくても。醜いですね。

8 人のミスの責任を取らなくていい……実際に自分の案件であったことなのですが、チームメンバが怠慢だったりミスしたりしてクライアントを怒らせてしまい私がクライアントからこっぴどく怒られたこともあります。所謂監督不行き届きですね。任せていたこちらに確かに責任はありますが、それにしてもまさかの凡ミスや単なる怠慢は、日頃指導していたことを守っていればあり得ないことでした。レバレッジなど実際にはあまり効きません。きちんと育成したコンサルタントでない限り。大手ファームならこんなことはあまり無いと思います。

9 休みたい時に休める……これは3と似ているようですが違います。3はあくまでもプロジェクトの期間内の話ですが、これはたとえばフルに3か月プロジェクトこなしてまとまった報酬を得たら、よほどの引き合いがなければその先3か月休んで巡礼するとか(あくまでも例です)そういう自由度があるということです。勤め人には不可能ですね( ̄+ー ̄)

10 好きなだけ続けられる……企業にはやはり定年があります。コンサルタントはむしろシニアの方が経験豊かだしクライアントから信頼されやすい点は確かにあるものの、組織としては年齢構成のバランスを考える向きもあるようです(古いモデルだと思いますが。それに対してフリーランスは続けられ続けたい限り続けられるのです。

 

もちろん、フリーランスとして成功するには潜在クライアントに訴求できるものを持ち自分で顧客を獲得する必要はあります。しかしそれはコンサルファームでも同じです。

世の中どんどん優秀なフリーランスが増えています。特に筆者の得意とする領域では非常に高い専門性を持った人材がコンサルとして活躍し大企業から中小企業まで入り込んでいます。

ファームとしてその単価の必然的な高さを正当化できるには、顧客獲得も案件獲得も個人の能力ではなく組織としてストックビジネスを確立すべく最大限努力し、かつあらゆる手段を駆使して抜本的に(例えば3倍、5倍)生産性を上げ、かつ固定費を下げなければなりません。