コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

残酷な病

医療関係では、仕事柄ぼくの得意とする2010年問題や2015年問題に象徴される製薬業界のビジネスモデル転換を迫る構造的変化と、それに伴う希少疾病フォーカスや高額薬剤問題について触れていることが多いのですが、自分自身も原因不明のアレルギー爆弾を抱えている身でもあり、今回は患者や家族の立場で考えてみたいと思います。

日本では「特定疾患」に指定されているいわゆる難病の中には、原因不明なものであっても、良い薬があって症状を抑え、通常の生活や仕事に支障がないものがあります。

たとえば潰瘍性大腸炎IBD)は特定疾患で、安倍晋三首相が患者であることも知られています。潰瘍性大腸炎は症状の軽重が患者さんによっても大きく異なるものでもありますが、安倍さんの罹患歴は長く、重症化する可能性もある疾患である中、首相動静にもあるとおり分刻みのスケジュールに加え、歴代首相の中でも特に精力的に頻回に外遊をこなされています。

一方で、有効な治療法もなく、病気の進行も速く、しかも患者の苦痛も甚だしく家族の負担も大きい疾患があり、残酷としか言いようもない疾患もあります。

ALSもそうですが、クロイツフェルト・ヤコブ病は一時、イギリスで異常プリオン蛋白質を含む肉を食べた人が発症したことから世界的に問題になった疾患なので聞いたことがある方も多いことと思いますが、全身の不随意運動と急速に進行する認知症を主徴とする中枢神経の変性疾患で、発症後の平均余命が約1年という死に至る病で、治療法は未だ見つかっていません。

医学的な記述だとあまり残酷に聞こえないかもしれませんが、実際には、ある日突然(つまり前ぶれなく)めまいや立ちくらみが起こり、やがて目や耳が効かなくなり、短期間のうちに病気の進行が進み、痴呆状態にまでなってから1~2年で死に至るのです。

脳が侵されるので、体のあちこちが動かなくなるだけでなく、目も見えなくなり耳も聞こえなくなり錯乱や記憶障害など精神・神経症状も起き、つまりどんどん人間としての機能が確実に失われていくのです。

医療の世界において、マクロトレンドとしては医療費抑制が大きなドライバーですが、同時に公共性、特に医療アクセスも担保せねばなりません。

ヤコブ病のような疾病は新たに発見され増えこそすれ減りはせず、また治療法の開発も追いつく気配がありません。医療費という判り易い計数で判断することは簡単ですし、HTAのように技術の投資対効果という試み(実際にはきわめて難しい)も方向性としては正しいですが、医療の本当の質とは何なのかを考える上で、このような疾病の存在が重い課題として厳然と存在していることを認識したいと思います。