コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ピアノ上達はアイデアの形式知化がカギ

かなり弾ける人でもあまり弾けない人でも有効な上達法は、楽曲と演奏に関する具体的なアイデアをどんどん文字にしていくことです。

いや、有効なというのは控え目な表現でした。早く上達したいなら形式知化していくしかありません!

 

文字にしてしまうと、漠然と繰り返し練習をしながらやっと自分のものになったことが、実はとてもシンプルで、何十回も何百回も繰り返すことなどなかったのに(!)ということが実はあったりします。

複雑な楽曲になると、意外と基本が疎かになったりします。

また、せっかくある曲で身に着けたアイデアが、別の曲ではてっきり忘れてしまっていたりします。

 

実にもったいないですね!

こういう「もったいない」を極力減らして、同じ時間をピアノの前で費やすならより他時間で自分のモノにして、数限りなく存在するピアノの傑作を一つでも二つでも多く弾けるようになりたいと思いませんか?

すごく思います!とても思います!

 

最近の自分の例を挙げてみましょう。

画像は今取り組んでいるショパンエチュード作品25第5番です。

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この曲はかれこれ4ケ月、普段習っている先生(ショパンコンクールにも出場された経験あり)に加え、先日受けた公開レッスン、それについ最近ワンレッスンお願いした先生、3名からいただいたアドバイスと自分のアイデアを書き込んだものです。

何を書き込むかは人によって変わると思います。その人にとって当たり前のようにできていることをわざわざ書き込むことはありません。得意不得意は人によって違います。そもそも「天才」なら何も書かなくても済むでしょう。しかしほとんどの人は「天才」ではありません(定義により)。

 

実はこれでもまだ細かいアイデアが書き切れていません。が、少し解説してみましょう:

  • 曲の冒頭は常に強い印象を与えるのでこの1楽節8小節は特に丁寧に弾かれねばなりません。音価は休符も含め正確に
  • この曲は3拍子です。3拍子というのは回転です。そして本来とても推進力のある拍子です。細かいところに気を取られているといつの間にかリズムが崩れていたりします。リズムは音楽の快感であり命です!(基本中の基本ですね)
  • 左手の休符は雄弁です。ペダルは節度を持って!(だらだら踏まない)
  • 同じく、バスを響かせるペダルの踏み方にしましょう。打鍵と同時が基本。
  • 両外声をクリアに響かせることも基本中の基本です。練習法として、両手とも指一本で弾いても美しい音楽になるように。
  • 和声分析も不可欠です。Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰのカデンツは色彩の変化を必ず伴います(8小節目一拍目はe:IIが正しいです。ご指摘ありがとうございます😊)
  • 強弱(デュナーミク)は特に他に要因が無ければ上行音型はクレッシェンド、下降音型はディミニュエンド(ディクレッシェンド、本当は両者は違いますが)
  • 右手の付点音符をショパンがわざわざこのように表記したからにはそのとおりに弾かねばなりません。なんとなく伸ばしたりしてはなりません

主な留意点(アイデア)だけでもわずか8小節でこれだけあります。

あとは外しやすい音の跳躍が両手にあるので、それを外さないようにするために無駄な運動(腕を上げてしまう)ことを避ける、手首の回転(外側に傾け過ぎない)、MP関節(指の付け根の関節)の開く角度を音型・音程によって適切に変える、などまだまだ正確に自然に弾くためのアイデアはあります。

 

もう何十年もピアノやっていますが、ここまで形式知化したのは初めてです。

しかも前述のとおり、人によって盛り込むべきアイデアは異なるので、楽譜にすべて書き込んだら大変なことになってしまいます(ビジー過ぎて読めない!)。

出来る限りピアノに向かう前にアイデア形式知化しておくこと(守るべき音楽のルールは和声含め明記しておく)、そして練習しながらまたレッスンの度に新たなアイデアはどんどん書き込んでいく。これこそが最も効率的な練習だと思います。