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ショパン前奏曲集作品28(39)ペダリング(その3)2番イ短調

前回に続き、加藤一郎氏のショパン前奏曲集作品28の自筆譜に基づくペダリングの分析について書く。今回は2番である。

前回取り上げた1番とは対照的に、ショパンは2番では1か所(ペダルを踏む/あげるの組合せにおいて)しかペダリングを指示していない。しかし、いうまでもなくここだけしか踏んではいけないということでは毛頭ない。あとは演奏者が楽曲の理解に基づきペダリングを決定しなさい(ただし自分勝手ではいけない)ということである。

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加藤氏の分析では、18小節は、曲頭から常に奏された二声(そう、二声である)のバスが一旦鳴りやんだ後、再開するところであるが、和声的にきわめて不安定であり(バスのeの上にVIの和音)、この和声が醸し出す不安感を強調すべく、曲中唯一のペダリング指示が記載されているということである。納得の分析である。

ショパン自身はよく絶妙なビブラートペダルを多用していたというが、この曲もノンペダルでは特に11度が出現する箇所もあり厳しいところがあることと非和声音が常に出てくるために、全体に繊細なペダリングが要求される。

そして当然のことながら、ここにペダリングの指示があるからといってべったり踏んだままにしていいということではない。ここに演奏者の耳とセンスの良さが求められる。決して容易ではない。