言わずもがな終曲であるが、一説によると、24番をニ短調にすべくショパンは五度圏で設計したとか。
ニ短調という調性は、ショパンが作品28で伝えたかった最大のメッセージである、こよなく愛する祖国を他国に蹂躙されること(ポーランドという国の歴史は日本人には想像し難い)への怒りとそれに伴う様々な感情の中でも慟哭を伴う烈しい憤怒を表現するに相応しいとショパンは思ったのではないかというのは自分の推論である。
左手の開離和音は中心軸をしっかり持って弾くとよい。冒頭で言えばaである。バスは決して外さないこと。
右手の旋律の運指であえて1の指を指示している箇所はそれだけしっかりした打鍵が必要なので守ること。
この曲の難しさは単独での難しさのみならず、23曲弾いた後にストレートに力強く烈しい激情を一気呵成に演奏することにある。
それにはテンポは揺れてはならない。
たとえばこの小節は正確にかつ和声を意識して弾くことが求められる。そのため運指は楽譜どおりではなく、下側に記したように弾くのが一案である。
とにかく最後まで決して緩むことなくエネルギーレベルを保つ、いや高めなければならない。最後の最後にピークがあるのだから。
とてつもない組曲である。