ほとんど邦画を根を詰めてみることはない自分が、久しぶりに没入した映画である。
契約しているWowowで週末に放映されるのを発見し予約録画しておいた。
原作は宮下奈都(文芸春秋)だが、ざっと読む限り、映画はかなり忠実に原作のストーリーと台詞を再現している。
何分映画監督にも疎いし、原作が受賞した本屋大賞というのがどれほどの権威なのかも知らないのだが(そもそも芥川賞や直木賞を受賞したからといって興味を惹かれることもないので)、世間での評価などまったく関係なく、逆にそういった先入観を植え付けられることもなく、「虚心坦懐」に見たのがよかったのかもしれない。
とても印象にのこった台詞がある。
「ピアノで食べて行こうなんて思ってない。ピアノを食べて生きて行くんだよ」
これは当然のことながら物理的存在としてのピアノを食すということだではもちろんない。
なるほど。
ピアノは手段ではない。目的なのだ。