コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

コンサル提案書の作り方

コンサルタントとして、これまで200を超える提案書を作成してきた。

最初は見よう見まねで先輩の作った提案書をテンプレートにして作っていたが、次第に自分が同僚や後輩の範になる立場になり(ならなければならない)、そもそもどういう提案にするかを考える立場で、勝てる(クライアントの心を打つ)提案書を作るにはどうすればよいかを考えるようになった。

コンサルティングの提案書作成は知的付加価値の結晶であり、作成の難度は高い。その理由は5つ:

  1. コンサルティングは高価である(安くて数百万、通常は数千万円)
  2. 売り物はサービスであり形が無い(成果物が見えていない)
  3. 業務が定型ではなく非定型(本質的に自動化できない)
  4. 同じテーマ(たとえば新規事業戦略策定)であってもクライアント、タイミングにより内容が変わる
  5. オーディエンス(読者)が通常一人ではなく複数(経営トップに直接提案する場合であっても、他の役員やキーマンも評価に加わる)

このように難度の高いコンサルティングの提案だが、提案書の作り方は基本的に同じプロセスである。

このプロセスは5つのステップから成る。

  1. クライアントの課題を特定する(事前面談、RFP(request for proposal)を手掛かりに、コンサルタントフレームワークと知見に基づき、解決すべき課題を特定する)
  2. 課題を解決する上で答えるべき論点を設定する
  3. 設定した論点に対して初期仮説を構築する
  4. 仮説を如何に検証し最終成果物を創出するかのロジック、アプローチ、フレームワーク、ツール、作業、スケジュール、リソースを特定する
  5. コンサルタントがこの業務を確実に遂行し、成果物を期限内に創出し品質を担保できることを示す材料を作成(成果物やツールのイメージ、実績、経歴、知見等)し全体を構成する

言うまでもなく重要かつ最も頭を使うのは最初のステップである。

解決すべき課題は、必ずしもクライアントが認識しているとは限らない。

 

実はこのコンサルティング提案書の作り方は、そのまま知的価値を創出する業務の進め方でもある。

与えられた問題を解決するのではなく、そもそもどういう問題を解決するのか、その問題を「発見」することで業務の価値の半分(経験則に基づく推定値)が決まる。