昨日取り上げたp進数と並び、ここ数年気になっているのは先日このブログでも取り上げたABC予想の証明である。
ABC予想が解決されたか否かは未だに決着がついていないようであるが、個人的にはABC予想という一見シンプル(だが実は現代数学の本質的な難しさを内包している)な問題が解決されたかどうかにはあまり興味がない。
興味があるのは、望月さんが提唱するIUTが、これまでに築かれた人類の叡智のフロンティアを推し進め拡大するものなのか、だとするとそれはどういうものなのか、である。
東工大の加藤文元さんがIUTについて「中高生にもわかるように」解説している動画があったので見てみた。
https://www.youtube.com/watch?v=kq4jbNl4lJk&feature=youtu.be
加藤さんの説明はできるだけ数式を使わず、IUTが如何に画期的であるかにフォーカスして説明している。
ガロア群、遠アーベル幾何といった概念は出てくるが、知らなくてもかまわない。
IUTの核心は、加藤さんによると、ABC予想が内包する本質的な難しさ、すなわちたし算とかけ算という異なる「パズル」あるいは舞台を解こうとする際に発生する歪み(ひずみ)あるいは不定性を評価することができる、ということだそうである。この評価を行なう際に、対称群という既に数学が持っているツールが活躍する、ということである。
正直、わかったような気もするがわからないような気もする。
しかし、p進数同様、IUTはスコトーマ外しにはもってこいのテーマだ。
よく純粋科学が何の役に立つのか、という質問が出るが(先日のブラックホール撮影成功の際にも出ていた)、大いに実用性があると思う。それは、我々のスコトーマを外し、思考をさらに拡げること、知的増幅に確実に貢献する、という意味において。