加藤文元さんの宇宙と宇宙をつなぐ数学を読んでいて思い浮かんだ名言がある。
アインシュタイン(Albert Einstein)が言ったという一言である。
We cannot solve our problems with the same thinking.
意訳すると、「私たちが抱えている創り出した問題は、私たちがそれを創り出したのと同じ次元の思考では解決できない」となる。
これを教科書的に直訳して「私たちは私たちの問題を同じ思考では解決できない」としては意味が通じない。「同じ思考」の何が同じかがわからないからだ。
つまり、問題解決のためには思考の次元を上げろということである。
さらに連想すると、広中平祐さんの「特異点解消」も思いついてしまうが、それはさておき、加藤文元さんがこの著者で取り上げているIUT理論構築の契機としてIUT理論の構築者である望月新一教授の前に立ちはだかった問題はABC予想である。
ABC予想は足し算と掛け算から成る問題であり、それがその予想を世紀の難問としている所以であるとのことだ。
現代数学という宇宙の次元では解けないことに、望月さんは徹底的に研究した結果行き当たってしまい、それ故に新しい数学としてのIUT理論構築を決意したということだが、これはすなわち自分がいる宇宙という世界より高次の次元の視点で問題を捉えていると言っても良いのではないか。
そしてそこから見て初めて見えた別の宇宙に解決のヒントがあるかもしれないし、元の宇宙に実は解決法があるかもしれないが、いずれにしても重要なのは高次の視点を、スコトーマを外して見ることにあるように思えてならない。