コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン前奏曲集作品28(62)研究再開18日目ー第18番へ短調

ショパン前奏曲集作品28解凍、18日目は第18番である。

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曲の冒頭から緊張感・不安定間の強い属9の和音で始まり、これが曲の過半を支配する。

最初はヘ短調、次に下属調ロ短調に転調するが、解決せず、やはり属9である。が、ここはしかし転調するので色は変えなければならない。属9だからといってひたすら同じテンションでいいということではない。

8小節目は22連符だがここはできるだけ拍を正確に弾きたい。全体的にレシタティーヴォ調ではあるが、やはり拍感は大切であり、変に流れてしまうことが無いよう、節度を保って弾きたい曲である。

そしてユニゾンはどちらかの声部がもう一方の声部の足を引っ張ることのないよう十分に留意する。これは14番と同じポイント。

ショパン前奏曲集作品28(61)研究再開17日目ー第17番変イ長調

ショパン前奏曲集作品28解凍、17日目は第17番である。

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コルトーはこの曲を評して「She told me,”I love you.”」と言ったそうだが、自分の曲のイメージはこれに近い。

先行する3曲とはうってかわって優しさに溢れた曲想である。

この曲の演奏のポイントは、内声をかなり控え目に弾くこと、旋律以外のラインと旋律の呼応に注意すること、それからダンパーペダルである。

 

ショパン前奏曲集作品28(60)研究再開16日目ー第16番変ロ短調

ショパン前奏曲集作品28解凍、16日目は第16番である。

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Presto con fuocoと指示がある。烈しい曲である。が、最初から最後まで猛り狂う演奏では単調で凡庸である。

烈しい中にも感情の起伏を表現せねばならない。

右手は流れとうねりが重要。一音一音ではなくかたまりとして捉える。フォルテを求められているが意識としてmfぐらいでちょうどいい。速いパッセージは力が入っては弾けない。

左手の跳躍は横目でしっかり位置を確認する。幸いなことに右手は一切跳躍が無いので視覚に頼る必要が無い。

ショパン前奏曲集作品28(59)研究再開15日目ー第15番変ニ長調

ショパン前奏曲集作品28解凍、15日目は第15番である。 

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この曲を雨だれと呼んだのはショパンではない。ハンス・フォン・ビューローは雨だれと評したが、コルトーは死をイメージした。自分が抱くイメージはコルトーに近い。Asの連打は落ちる雨粒ではなく、絶えんとする命に対し容赦なく刻む時に聴こえる。

当然ながら、音は響は自分が解釈しイメージする世界に忠実でなければならない。

軽い雨粒などではなく厳しく正確に刻む重いものになる。

中間部は内声のラインを朗々と歌うことは必須。

ショパン前奏曲集作品28(58)研究再開14日目ー第14番変ホ短調

ショパン前奏曲集作品28解凍、14日目は第14番である。

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ほぼ全曲がオクターブのユニゾンのためソナタ2番作品35の終楽章との類似性をしばしば指摘されるが、ソナタがコーダ的意味合いなのに対し、この14番はIntermezzoであるところで一線を画す。

ニゾンの曲を美しく演奏するには、右手と左手のアーティキュレーションを完全に一致させることが必要である。

もちろんデュナーミクもである。

左手と右手を別々に練習し、1オクターブ違うだけでまったく同じように歌わなければならない。

また、機械的にならぬよう、色彩の変化を十分につけることも大切。

 

 

ショパン前奏曲集作品28(57)研究再開13日目ー第13番嬰へ長調

ショパン前奏曲集作品28解凍、13日目は第13番である。

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美しい曲である。ひたすら美しい。この美しさをどう表現するか。

またもや(11番に続き)ショパン先生は冒頭下段にlegatoと指示していらっしゃる。

この開離和音をlegatoでダンパーペダル控えめに弾くには手のしなやかさと運指の熟慮が欠かせない。

旋律も単調になってはいけない。冒頭右手Fisのトニック三和音第二転回形が三度鳴らされるが、これをどのような表情をつけるか。普通に考えれば若干cres.気味に弾くのが自然であろう。

そして中間部。ここは内声やバスの動く音のラインをバランスを保った上でセンス良くen dehorsとするのが当然である。

ペダリングはこの曲に関してはショパン先生はとても親切に記譜されているのでほぼそれに忠実に弾くのが良いが、できれば和声外音で濁らないように工夫したい。

また、33から36小節にかけてはソプラノの長音符が美しく響くようなペダリングの工夫を作曲者自身自筆譜に記譜している(パデレフスキ版では下段にペダル記号があるが)こともしっかり留意しておきたい。

ショパン前奏曲集作品28(56)研究再開12日目ー第12番嬰ト短調

ショパン前奏曲集作品28解凍、12日目は第12番である。

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作品28中難曲トップ5に入るとされる(8番、16番、19番、24番と共に)12番であるが、弾き方にコツが2つあるのでそれを理解すればそれほど難しくはない。以前(6年前)に弾いていた頃はそれを知らずに弾いていたのでとても苦労した覚えがある。

一つは、右手の運指と重力奏法である。手はほとんど鍵盤から離さず、一拍ではなく1小節がワンアクションと考えて弾くようにする。

もう一つは和声進行である。この曲に限らないが和音が変化するところでミスタッチが起きやすい。和声進行を理解しておけば、和声が変わったところで特に左手のバスを外すことはなくなる。

もっとも、6年前と比べてかなり指が強くなっているので重力奏法で楽に弾けるようになっているのかもしれない。

 

ショパン前奏曲集作品28(55)研究再開11日目ー第11番ロ長調

ショパン前奏曲集作品28解凍、11日目は第11番である。

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冒頭にlegatoとある。いきなりのキツい指示である。およそピアノのテクニックの中で最も難しいものをさらっと書くショパン先生恐るべしである。

ダンパーペダルに頼ってはならないし、音が重なってもムラがあってもいけないレガート。

レガートはペダリング同様耳で創るものである。

研ぎ澄まされた耳と究極までに滑らかで自然な腕と手首と指の動きのハーモニーである。

このようにシンプルな曲なればこそ、この基本中の基本のテクニックが試される。

和声の変化は他の曲に比べ少ないが、それが逆にこの曲の難しさを一層増しているとも言える。

隠れた難曲である。

ショパン前奏曲集作品28(54)研究再開10日目ー第10番嬰ハ短調

ショパン前奏曲集作品28解凍、10日目は第10番である。

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この曲は自分としてはほとんどダンパーペダルは踏んではならないと思う。せいぜいクォーターペダルか。

運指もフィンガーペダルを使うようにとのパデレフスキ版の指示にある。

また曲目解説にも書いたが、右手の16分音符は三連符とそうでない音符は明確に弾き分けるように注意する。そしてleggieroと指示があるとおりあくまでも軽やかに、テンポはMolto Allegroとはあれど速すぎず、どこまでもセンス良く。Intermezzoのように。

ショパン前奏曲集作品28(53)研究再開9日目ー第9番ホ長調

ショパン前奏曲集作品28解凍、9日目は第9番である。

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この曲は、付点四分音符と三連符をノート・イネガルで弾くピアニストが多いし、自分もそう弾いてきたが、自筆譜の研究を読んでからは、ノート・エガルで弾くことに決めた。

これによってより雄大な曲想が浮かび上がる。

もう一つのポイントはGに転調してからの中間部から終結にかけてのまっすぐな方向感、盛り上げ方である。