先日自分としては珍しく、映画館に映画を見に行った投稿をしました。
シーモアさんと、大人のための人生入門。主役のピアニスト、シーモア・バーンスタイン(Seymour Bernstein)さんは89歳、見事な演奏をされます。
高齢にもかかわらず衰えをみせなかったピアニストは多く存在します。たとえば1986年に93歳で亡くなった名ピアニストであり名ピアニスト教師であるブラジルのマグダ・タリアフェロさん。コルトーの秘蔵弟子と言われた方も、90代で素晴らしい演奏をされていたと聞いています。
このような天才の名にふさわしい方々だからこそ、高齢でも心身ともに健康なのでしょうか。
個人的な感覚で恐縮なのですが、ピアノを弾いているからこそ心身ともに健康なのだと思います。少なくともそこにいくばくかの因果関係があるのではないかという仮説です。
そこで探してみました。ピアノは認知症を予防するか否かに関する研究結果はないものかと。
医学論文のデータベースである米国NIHのPubMedを探してみました。
ありました。
バルセロナの研究機関により、65歳から84歳の29名の被験者を2つのグループに分け、4か月間ピアノのレッスンを受けさせ練習し、認知能力等を比較したところ、統計的有意に、ピアノレッスンを受けたグループの認知能力が高まったという結果です(かなり結論をまとめていますので詳しくは論文をご参照)。
この結果から即、ピアノが認知症を予防するとまではとても結論付けるには足りないですが、個人的な感覚に関して一つのポジティブな仮説検証がなされたと思います。
ちなみにこの論文は既に他の10の研究論文に引用されています。
このような研究が進むことで、未だに有効な治療法がなく(そもそも認知症発症のメカニズムも仮説段階)、超高齢社会における深刻な課題である認知症を予防するための現実的かつ有効な打ち手が導かれ、しかもそれがピアノ演奏であるとなるとこれは大変すばらしいことだとおもいます。クラシック音楽界にとっても福音となります。