社会人2年目の春、休暇をとって友人と2人でアメリカ西部をレンタカーで走り回った。
LAX(ロサンゼルス空港)を出発してLAXに戻る、約3,000マイル(5,000km弱)の強行軍だったが、ただただ感動の毎日だった。
当時の旅行記を詳細に記してあるものを発掘したので投稿する。
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社会人2年目の私たちがGWを利用してなんとか捻出した7日間という限られた期間の中で、大都市は無視し、とにかくアメリカ大陸の偉大なる自然を見てやろうと、毎日ひたすら走り続けた。天候にも恵まれ、さしたるアクシデントもなく、次から次へと眼前に展開する自然の造形に圧倒されっ放しの7日間だった。
第1日目(4/25木)快晴ロサンジェルス到着、ウィリアムスへ約530マイル
定刻通り朝8時にロスに到着。早速既に日本で予約しておいたエイビスのレンタカーを借り、出発。車は白のシボレー・ルマン。
I10に乗り、ひたすら東を目指す。以前ロスに来たときには生憎到着が夕方で悪名高きインターステイトの大渋滞にはまってしまったが、今回はラッシュアーを避け、スムーズにロスを脱出できた。
ロスから離れるにつれみるみる人家もパームツリーも減っていく。目指す最初の目的地はグランドキャニオンだが、ロスからは600マイル弱と最初からこれはきついので、できるだけ距離を稼いでおこうと思い、最初の休憩をとったのは120マイル走ったパームスプリングスPalm Springs。
マクドナルドで軽く昼食をとり、すぐに出発。このあたりでは強風のため砂嵐が凄い。
さらにI10を130マイル行ったBlythで最初の給油(6.6ガロン、約$8)。やはりガソリンは安い!ここでI10からUS95に進路を変え、北上する。
片側一車線の道が果てしなく続く。既に我々はアメリカの田舎の広大さと長閑さの真只中にいる。
しかしそれにしても飛ぶ虫の数が多い。フロントシールドはたちまち激突した虫の跡でいっぱいになる。
Blythから約110マイルで小さな町Needlesに到達し、I40に乗る。約65マイル先のキングマンKingmanで二回目の給油(5.4ガロン、約$7)。午後5時半で既に日は暮れかけているが、構わず東へ走り続ける。
約120マイル走り、すっかり日も暮れたところで、ウィリアムズWilliamsでモーテルを探す。最初にあたったモーテルでは今日は満室だといわれたが、そこの主人が親切にも近くの別のモーテルに話をつけてくれた。ウィリアムズは小さな町だが、グランドキャニオンの玄関口だそうでモーテルは多い。近くのデニーズDenny'sで夕食、日本のDenny'sより幾らか家庭的な味という感じ。
ここで既にグランドキャニオンに行ってきた老夫婦が列車で行くのもいいよと言ってくれた。また機会があれば乗ってみたい。本日の走行距離528マイル(850km)。
[ウィリアムズの宿Norris Motel Williams, AZ. 86046 (602)635-2202 TOLL FREE 1-800-341-8000 (T)$48+TAX]
第2日目(4/26金)快晴ウィリアムズ→フラッグスタッフ約450マイル
今日はグランドキャニオン、モニュメントバレーを予定しているので朝6時起床、7時出発。
AZ64を60マイルほど北上するともうグランドキャニオンだ。グランドキャニオンの南側は観光地として良く整備されており、West Rim Driveに沿って幾つものポイントがあり、いちいち止まっては壮大な景観に感嘆する。
下を見るとTrailを馬に乗って、もしくは徒歩で降りて行く人たちがいた。時間があれば自分の足でその雄大さを確かめるのもいいだろうなと思った。
South Rim Villageで絵はがきなどを買い、サンドイッチで軽くブランチをとる。通算3回目の給油をし(5.1ガロン、約$7)、East Rim Drive(AZ64)をDesert Viewまで進む。ここにはWatch TowerがあってSouth Rimで最も標高が高く、ここからの眺めもなかなかのものだ。
AZ64をそのまま50マイル程進むとキャメロンCameron、ここでUS89にぶつかる。
しばらく走ってUS160に進路を変え、東へ100マイルほど走るとモニュメントバレーに最も近い町カイエンタKayentaだ。カイエンタに近づくにつれ西部劇に出て来るような荒涼とした風景が眼前に広がる。
カイエンタのBurger Kingで軽く休憩をとり、US163を約20マイル走るとモニュメントバレー。この時午後3時。そろそろ宿を決めようかと地球の歩き方に載っていた宿(Goulding's Trading Post & Lodge)をあたってみるがNo Vacancy、まあいいや、先にモニュメントバレーを見よう。
モニュメントバレーはビュートButte群を縫うように砂利道のコースができており、巨大なビュートを眼近にみることができる。ただし距離は短いものの砂利道で一周するのに一時間はみた方がいいことと、入場時間に制限があるので(この時は4時)、余裕をもって早目についておいた方がいいだろう。
車を止めてビュート群の中に身をおいて耳を澄ますと、もはや風の音以外に静寂を乱すものはなく、壮大な景観とあいまってまるで別世界に飛び込んでしまったかのようにさえ感じられ、悠久の時の流れにこのまま身を任せたい衝動に駆られた。
モニュメントバレーを後にし、Kayentaで通算4回目の給油(6.4ガロン、約$8)をし、Cameronまで来た道を戻り、US89を南下する。すっかり日も暮れてしまったものの宿はなく、焦りを感じながらも、フラッグスタッフFlagstaffまで行けば何処か適当なところがあるだろうと期待しつつ走る。
FlagstaffでUS89とI・0が交差する辺りにはモーテルが多い。Econolodgeをみつけ、ここに決める。夕食は宿の主人が教えてくれた近くのSizzlerでとる。Sizzlerはステーキ中心のチェーン店で、特にうまくはないが、手ごろな値段で気軽に食べられる店だ。明日に備えて通算5回目の給油(4.8ガロン、約$6)をし、宿に帰る。本日の走行距離448マイル(721km)。
[フラッグスタッフの宿Econolodge 3601E. Lockett Rd., Flagstaff, AZ 86001 (602)527-1477 (T) $35+TAX]
第3日(4/27土)快晴フラッグスラッフ近郊約370マイル
今日の目的地はペトリファイドフォレスト、バリンジャー隕石孔、と宿のお兄さんが絶賛するセドナ周辺の渓谷だ。いつもより余裕を持って8時頃でかける。
I40を東へ90マイル程行くとHolbrookという町があり、ここでUS180に進路を変え、20マイル行くとペトリファイドフォレストPetrified Forest国立公園の入口がある。
Petrified Forestはその名の通り石化した木が広大な平原にごろごろ転がっているところだ。国立公園の中の延長22マイルの一本道を北へ進むと、Painted Desertがある。赤や紫の砂漠が一面に広がる。再びI40に乗り、西へ戻る。
途中の町WinslowのDenny's(本当によくお世話になった)で昼食をとり、フラッグスタッフから60マイルほどの処にあるバリンジャー隕石孔へ行く。49,000年前にできたというこの隕石孔は、今もなおその当時の衝撃の大きさを物語っている。
この近くで通算6回目の給油(6.7ガロン、約$8)をし、I40を西へ進む。FlagstaffでI17へ乗り、数マイル行ったところでUS89に入るとうっそうとした林の木漏れ日の中の道だ。
約20マイル先のセドナSedonaまで濃い緑の中に赤い岩肌の渓谷が続く(Oak Creek Canyon)。そのコントラストとスケールの大きさは筆舌に尽くし難い。あまり知られていない観光地ではあるが、絶対に一見の価値はあると思う。Flagstaffから近いことも魅力だ。Sedonaは地図では小さな町のようだが店や宿も多く、しっかり観光地化されている。この辺りでキャンプをするのもなかなか良さそうだ。実際キャンプにきている人も多い。
Sedonaを過ぎてもUS90沿いにはいくつも見所はあるようだが、もう既に夕方だったので我々はSedonaからAZ179にはいり、I17をまっすぐ北上しFlagstaffへ戻った。夕食はFlagstaffのダウンタウンにあるSpaghetti Stationという店でスパゲッティを食べた。だが雰囲気やサービスの割に味は決して良くなく、あまり勧められない。宿は昨晩と同じくEconolodge。本日の走行距離373マイル(600km)。
第4日目(4/28日)快晴フラッグスタッフ→デスバレー約500マイル
今日の予定はフーバーダムを見て、ラスベガスを経由してデスバレーという些か強硬なもの。
そこで朝7時前に宿をチェックアウトし出発。I40を再び西へひた走る。約80マイル進み、途中Seligmanで通算7回目の給油(7.1ガロン、約$9)。更に100マイル走り、KingmanのDenny'sでBreakfast。日曜の朝ということもあってかとても混雑していた。
商売繁盛大いに結構!しかし後から考えると朝のDenny'sはいつも混んでいた。US93 NorthでフーバーダムHoover Damへ向かう。昼前にHoover Damに到着(Flagstaffから約230マイル)。それにしても人と車の多いこと。こんなに人気のあるところとは知らなかった。我々はダムに関係している商売柄ここで割とゆっくり見物する。あと我々は降りなかったが、たった$1(大人)でダムの下までエレベーターで降りることもできる。
Hoover Damから約30マイルでラスベガスLas Vegasだ。GSを探して給油しようとしたらなんとUnleadedがない!仕方なく向いのGSに入ったらやはりここにもない(売り切れ?)。そのはす向いのGSでやっとUnleadedにありつき、ここで通算8回目の給油(5.7ガロン、約$7)。そしてLas Vegasの市内にはいる。しかし昼間だし我々はギャンブルに興味もないので、とりあえず大通り(Las Vegas Blvd.)だけでも走ってみた。
最近オープンしたMirageは大きな噴水のあるgorgeousなホテルで、ラスベガスの他の絢爛なホテルの中にあって異彩を放っている。ただ大通りを走っただけであっさりLas Vegasを後にし、I15 Northに乗る。
ここからデスバレーDeath Valleyまでは約130マイル。この間GSは一軒もないと聞いていたが、実際走ってみたらI15の途中に一軒、Lathrop Wellsを過ぎたNV373との分岐点に一軒あった(ここで通算9回目の給油(3.4ガロン、約$7、高い!)。
NevadaとCaliforniaの州境を過ぎるとNV373はCA127に名前を変える。Death Valley Jct.でCA190に進路を変え、10マイルほど走るとDeath Valleyを一望できるDantes Viewへの分岐点に到達する。ここからDantes Viewまでは13マイル、延々と山道を登って行くのだが、これまでになく水温が上がって行く。
途中にラジエーター用の水の補給タンクが置いてある。さすがに気温はそれほど高くなく、オーバーヒートの心配不要だが、やはり夏は気を付けなければいけないのだろうなと思った。
Dantes Viewからの眺めは最高だった。誇張でも何でもなく、実際言葉を失ってしまった。広大かつ平坦な谷底は南北に数十マイルも続き、塩の白と岩の黒がくっきりしたモノトーンの図形を描いている。
山道を下り、先ほどの分岐点から更にCA190を進むとFurnace Creekがある。今夜はここの宿に泊まることにする。この時点で午後5時半、まだ日没までは時間があるので、Death Valleyの中をドライブ。まずZabriskie Pointへ行ってみる。
しかしDantes Viewからの眺めを見てしまった後では、ここからの眺めは全然どうってことはない。その後Death Valleyの南、Badwaterへ向かう。その途中「悪魔のゴルフコース」と名付けられた、塩と泥の混じり合った地面からなるところに車を止める。あらゆる生物の生存を拒絶しているかのような、まさに死の世界だ。BadwaterはDeath Valleyの最低点(海抜-85.2m)だそうだが、そう思ってみると不思議な感慨がある。
日が暮れてきたのでここで引き返す。またその途中にArtist Driveがある。まさに太陽が西の山に沈もうとしている時間だったので、赤や紫、黄色に染められた山肌が夕陽に映えてあざやかだ。Furnace Creekに戻り、夕食を取る。
Death Valleyの北にはStove Pipe Wells Villageという宿もあるが、経済的な面を考えなければ、Death Valleyの中心にあるここの方が、便利だし、ほっとできると思う。
宿の部屋は芝生の中庭に面していて、そこから見上げた満天の北の星空はとても明るかった。北極星がこんなに明るく見えたのは初めてだ。本日の走行距離496マイル(798km)。
[デスバレーの宿Furnace Creek Ranch, Death Valley, CA92328 (619)786-2345 (T)$94+TAX]
第5日目(4/29月)快晴デスバレー→レイクタホ約400マイル
今日の目的地はレイクタホ。道のりは長いのでやはり早めに起床。7時にチェックアウトする。
ところがここで問題が起きた。何と左のフロントタイヤの空気が抜けているではないか!いつからだったのだろうか、全然気が付かなかった。チェックアウトの時隣に止まった車の人が教えてくれたのだ。やはりモニュメントバレーの砂利道が悪かったのか、それともデスバレーで初めてこうなったのだろうか。パンクとまではいかないのかも知れないが、とにかく大事をとってスペアタイヤと交換した。
Furnace Creekで通算10回目の給油をした後、全部のタイヤに空気を入れておいた。他のタイヤはどうだろうかとびくびくしながら出発。Death Valleyは本当に広い。40マイル近く走ってようやくStove Pipe Well、それでもまだDeath Valleyの中。山を登り、下ってまた左右に谷が広がる。この谷も抜け、さらにCA136を走って行くとシェラバダ山脈の冠雪した山々が眼近に迫ってくる。
Furnace Creekから100マイルほど走るとLone Pineという町に出、US395にあたる。シェラバダ山脈を左にみながらひたすら北上する。途中Bishopで通算11回目の給油(9.9ガロン、約$12)、タイヤをチェックするがここまで走って何も変わった様子はないのでBishopのエイビスに寄る必要もないと判断する。
朝から何も食べていないのでそろそろこの辺で食事をしようと思うが適当な店がない。そこでスーパーに寄ってサンドイッチをその場で作ってもらい、町外れにある小さな湖のほとりで食べた。とても静かないいところだった。
本当にちょっとした、何でもないところにでもいい場所があるものだ。食べ終わって束の間の休憩の後さらにUS395を北上する。途中で意味不明の渋滞につかまるが、すぐにスムーズに流れ出す。
Bishopを過ぎると右側にいくつか湖がある。ヨセミテYosemiteの入口の町Lee ViningにはMono Lakeという湖がある。デスバレーから既に240マイル走ったし、ここで車を止めて暫し休憩。
ヨセミテはまだ道路が閉鎖中で入ることができないので、とにかくLake Tahoeに向かう。約60マイル走ってTopazというところでCA89に進路を変え、急な曲がりくねった山道を走っていく。所々に渓流があり、釣りを楽しむ人たちがいる。
そうこうしているうちにUS50にぶつかり、ここで右折するとLake Tahoeの町サウスレイクタホSouth Lake Tahoeまではあと一息だ。
湖畔まで徒歩2分のところの宿に泊まることに決め、部屋で一息。湖を一望できるところはないかとまずヘブンリーバレーHeavenly Valley(スキー場)にいってみるが、トラムは閉鎖中でリフトにも乗れないので諦めEmerald Bayを目指し湖の西岸へ向かう。
山道を登ったところでよいVista Pointを発見し、ここから写真をとる。苦労してここまで来た甲斐があったと思わせるだけのものはある。こんな湖に面したスキー場で滑れたら最高だと思う。宿に戻り、歩いて湖畔に行ってみる。只じっと湖を眺めている人がいる。時の経つのを忘れそうだ。
サウスレイクタホの町は、リゾート地としてとても発展しているので、モーテルも数え切れないほどあるし、食事にも全く困らない。でも我々は、夕食は質素によくあるDenny'sタイプのレストランで食べた。その帰り通算12回目の給油(6.7ガロン、約$9)をし、宿に帰った。本日の走行距離399マイル(642km)。
[レイクタホの宿Best Western Station House Inn, 901 Park Av., S. Lake Tahoe, CA 95729 (916)542-?101 (T)$88+TAX]
第6日目(4/30火)快晴レイクタホ→サンシメオン約470マイル
今日の目的地はモントレー、カーメル。朝7時に宿を出発。US50を西へ西へと走る。S. Lake Tahoeから約60マイル走ったPlacervilleのチェーンレストランLyon'sで朝食(午前8時)。ここで約1時間の休憩。
約40マイルで州都サクラメントSacramentoに来たが我々は大都市には興味がないので写真を数枚取っただけでそのまま通過、I80に入る。約70マイル走ってバークレーBerkeleyの手前のAlbanyでI80を降り、Richmond亡an Rafael Bridgeを渡ろうとするが、道が見つからない。何と我々の持って行った古いRand Macnaryの地図にはI580が載っていなかったのだ!
とにかくI580 Northに乗り、橋を渡る。US101を南へ走り、ソーサリートSausalitoを通過、Golden Gate Bridgeをわたり、サンフランシスコSan Franciscoの町へ入る。
市内ではJapanese Garden等の周辺を回る美しい道をドライブした後、急な坂道を登ってTwin Peaksを探すがこれがなかなかたどりつけない。やはり事前にもっと良く市内の地理を頭に入れておくべきだった。でもとにかくダウンタウンを望める場所にきたのでここで一息。
サンフランシスコと以前行ったシアトルはなんとなく雰囲気が似ているなと思った。サンフランシスコ観光はたったこれだけで終わりにし、市内で通算13回目の給油(5.8ガロン、約$8)をし、町を後にする。
この後の予定はパシフィックコーストハイウェイCA1をひたすら南下することだ。CA1に入り、町を抜けてすぐのところのビーチでちょっと一息、再び太平洋岸に戻ってきたことを実感する。
途中の町でアメリカのKentucky Fried Chickenの味を確かめ、右手に殆ど常に太平洋を望みながら南へ南へと走る。約60マイル走ってSanta Cruzを過ぎるとモントレーMontereyまではあと約50マイルだ。
MontereyではFisherman's Wharfでボートや釣り人を眺めたり、Canary Rowをうろうろしたりして過ごした。半島の海岸沿いを走って行くとカーメルまでの17マイルドライブに入る。
17マイルドライブには24のポイントがあるが、我々が止まったうちではBird RockとCypress Pointがおすすめ。Bird Rockには岩の上に大きな鳥(何だかよくわからない)が群れていて、またあしかなんかもいた。
Cypress Pointではちょうどこの時期あしかのお産の時期だそうで、生まれたばかりのあしかを見ることができた。有名なPebble Beachには豪邸があって、まさに高級別荘地という感じであった。17マイルドライブを終えるとそこはカーメルCarmel。
カーメルについたとき既に夕方5時を回っていたが、まだ日も高いし明日のんびりするために少しでも南へ行っておこうと更にCA1を南下する。ところがこの辺からCA1は74マイルにわたって崖っぷちを走る曲がりくねった道に変わる。そのかわりこの辺りの夕暮れ時の景観は圧巻でもある。
水平線に沈む夕陽を背にしながら走り続ける。Luciaという小さな町で通算14回目の給油(5.6ガロン、約$8)をする。太陽はどんどん高度を下げて行くのだが道沿いに大きな町はなく、止まる場所を決められないまますっかり日も暮れてSan Simeonまで約18マイルというところでまともなモーテルに出くわす。一泊$89と高いが夜になってしまったことだしいいかと思って一端宿代を払う。しかしここにはレストランがなく、何か食べるにはSan Simeonの中心まで行かなければならない。どうせそこまで行くならそこに泊まりたいといったら宿の女主人は快く応じてくれ、結局そこから10マイルほど進んだところの小さなモーテルに泊まることにした(こちらの方がはるかに安い)。
夕食は宿から南に10マイルほど行ったところにあるSan SimeonのBest Westernのレストランで食べた。本日の走行距離466マイル(750km)。
第7日目(5/1水)快晴サンシメオン→ロスアンジェルス約300マイル
サンシメオンはロスの中心部からCA1で約250マイルのところ。今日は昨日あれだけ頑張ったおかげで日程に余裕があるので、朝はゆっくり起き、モーテルの裏はすぐ海になっているので朝の太平洋を眺めたりして宿を出発したのは8時半ぐらい。この辺からはもうCA1はゆるやかな道になっているので昨日の崖っぷちの道と比べるとドライブははるかに楽だ。40マイルほど走ってCA1はサンルイオビスポSan Luis Obispoという町でUS101に合流する。
更に20マイルほど行ったところのサンタマリアSanta Mariaの(またもや)Denny'sで朝食。ウェイトレスがデジタル時計を持って来てテーブルに置いた。10分以内に持って来るという意味だろうが、本当に10分経たないうちに料理を持ってきてくれた。サンタバーバラSanta Barbaraの町に立ち寄ってみる。赤いスペイン瓦に白亜の壁の建物、青い空、パームツリーがコントラストの強い独特の雰囲気を醸し出す美しい町だ。特に裁所の建物がいい。US101に乗る前に通算15回目の給油(6.2ガロン、$7.6)。ガソリンは西へ行くほど安いのだろうか。
CA1はベンチューラVenturaの先でまたUS101から分かれ、海岸沿いを走る。もうロスは間近に迫っている。気温は低いのに、日差しはとてもまぶしく、車に乗っているとまるでもう夏が来たかのようだ。ロスに近づくに連れだんだん車も増えてくる。
サンタモニカSanta MonicaのベニスビーチVenice Beachの駐車場に車をとめ、桟橋まで歩く。桟橋の先では釣り人たちが糸を垂れている。海岸沿いの道路では老若男女を問わず人々が自転車やローラースケートを楽しんでいる。砂浜ではまださすがに泳いでいる人はいないものの、寝そべって日光浴を楽しんでいる人がたくさんいる。
CA1をさらにそのまま行くといつの間にかマリナデルレイMarina Del Reyの中に入っていた。周回道路を走り、Fisherman's Villageでハーバーを眺め、ハンバーガーを頬張ったりみやげ物屋をのぞいたりして過ごす。それにしてもサンタバーバラといい、ベニスビーチといいなんてのんびりしているだろう。
明日の朝の飛行機のことを考え、宿は空港近くのクオリティインを予め予約して置いた。10階まで客室があり、中にレストランやラウンジ、ルームサービスまである割に$60とは安い(ホテルの部屋にはRoom Rateは二人で$95とあったが、まあ安いんだから文句は言うまい)。
ホテルの部屋にはいるとどっと疲れがでる。もうあとはグリフィスパークGriffith Parkからの夜景を見るだけだ。まあそれでもハリウッドHollywoodぐらいは行こうということでI405に乗り、Santa Monica Blvd.で降りてウェストウッドWestwood、ビバリーヒルズBeverly Hillsを通ってハリウッドへ。Hollywood Blvd.とHighland Av.の交差点近くのパーキング(終夜で$5)に車をおき、ぶらぶら歩く。
すっかり日も暮れ、チャイニーズシアターChinese Theaterの近くの気軽な中華料理の店Pink Pandaで夕食。しょうゆの味がなぜか気分をほっとさせてくれる。
Hollywood Blvd.を東へ走り、Vermont Av.を北へ。まっすぐ走り、1マイルほどの山道を登りきるとグリフィス天文台がある。この前来たとき以上に人が、それも日本人がやたらと多い。やはり記憶は記憶でしかない。ロスの夜景は実際にみるとこんなに美しい夜景が他にあるだろうかと思わせる。東西、南北にまっすぐ走る大通りの街灯の列がとても明るく、きれいだ。天文台の中ではいかにも学者風のおじさんがフーコーの振子の実験の説明をしている。とっつかまえてさんざん質問してみたがしっかり答えてくれる。本当の天文学者かもしれない。
山を降り、Western Av.をまっすぐ南へ走る。Century Blvd.で右折、空港方面へ走る。もう夜10時過ぎだというのに交通量が多い。宿の手前のGSで通算16回目の最後の給油(5.3ガロン、約$7)。セルフサービスのはずが若い男のアメリカ人が寄ってきてガソリンをいれてくれるが、何のかんのいって$2とられてしまった。まったく商売がうまい。
缶ビールを買ってきて二人で飲み、床に入ったのは午前1時過ぎ。本日の走行距離302マイル(486km)。
[ロスアンジェルスの宿Quality Hotel Los Angeles Airport 5249 W. Century Blvd., Los Angeles, CA 90045 (213)645・000 (T) $60+TAX]
第8日目(5/2木)快晴帰国
朝7時半にチェックアウト、レンタカーをチェックインして航空会社カウンターでチェックイン。ゆっくり朝食を食べ、免税店で買物をし、11:00の飛行機で帰路につく。離陸してしばらく我々が走ってきた海岸線のCA1が眼下に見える。近いうちにまたアメリカの土を踏むだろう。
7日間でとにかく見れるだけ見ようということで駆け足の旅だった。総走行距離は3,014マイル(4,850km)。ダイジェスト版のようになってしまった気もするが、脳裏には雄大な大自然の様々な顔が焼き付いている。
さしたるアクシデントもなく、まあ満足できる旅にはなったのではないだろうか。今度来るときには一つ一つの場所でゆっくり腰を落ち着けて再びその雄大さを、また自然の厳しさを実感してみたいと強く思う。ただ一つ感じたのは、特に頻繁に出くわした山道での車の馬力不足。やはり馬力はあるに越したことはない。