ビジネスで古参の役員など錚々たる面々の前でプレゼンする、学会でその道の先達、専門家たちの前で研究成果を発表する、コンサートやコンクールで耳の肥えた聴衆や審査員の前で演奏する。
いずれも緊張を強いられ、恐怖に苛まれ、声がうわずって何を言っているのかわからなくなったり、演奏であればミスがミスを呼んだり崩壊したりしかねない状況である。
自分は学会でもビジネスでもあまり「あがる」という経験がない。
英語でも日本語でもである。
しかしピアノは違う。崩壊や大事故はないものの、練習とは、また直前のゲネプロとはほど遠い不本意な演奏になったことは少なからずある。
なぜプレゼンではできてピアノ演奏だと実力が発揮できないのか。
その理由にやっと気づいた。
ピアノ演奏は一度ミスしたら取り返せないという思い込み、リカバリーできないという思い込みに過ぎなかったのだ。
音楽は流れがとても重要だから、リカバリーといっても弾き直すということではない。
ミスに動揺しないということ、引きずらないということである。
一度ミスをしても前に進む。進めるのだ。
そう考え方を変えるだけ。
というより、自ら課した不要なルールを撤廃するだけなのだ。
かつての自分にはそんなルールはなかった。
しかしピアノを再開してコンクールに出るようになってから勝手にそのようなルールを作り遵守を命じてきたようである。
はい解決。