ピアノ誌「レッスンの友」1992年9月号から1994年6月号に20回にわたって長期連載された渡辺圭子氏によるショパン前奏曲集作品28の解説「譜を読む」は力作である。
初回はショパンと石川啄木の共通点の多さに着目し、24曲を日記の形で綴っているというユニークなアプローチ。各曲の曲想を理解するのに大いに助けになる。
2回以降も、各曲の曲中の変化のそれぞれにどのような意味があるのかを丁寧に筆者独自の発想とアプローチで解明していく。
これはそもそもピアニストなら誰でも取り組む曲に関して行なうべき作業であるから、決して筆者の書いたことを鵜呑みにするのではなく、自らの解釈(ただし自分勝手なものにならないように)を行なうにあたってアプローチとして参考にすべきものである。
連載の後半は1番から12番について詳しく演奏法も含め解説している。
13番以降についてはこれより前の連載に部分的に触れられているが、13番以降の各曲についての研究は自らに課すことにしようと思う。