少なくとも一般的に人気のある作品ではない。
たとえば子犬のワルツ、英雄ポロネーズ、黒鍵や革命のエチュード。
あるいはソナタ3番やスケルツォ2番や3番、バラード1番などと較べて、長大であるのみならず華麗さに欠ける。
しかし自分にとってはショパンの最高傑作であり、どれか一つショパンの作品を選べと言われたら迷わず前奏曲集作品28を選ぶ。今なら。
なぜか。そこにショパンの真の叫び、素の思いが聴こえるからだ。
決して華々しくはないかもしれない。しかし通して聴くとそこに人間ショパンの感情の揺れ移り変わりをみることができる。しかも自由な形式で即興的に。
演奏時間約40分はピアノ曲の大曲の中にあってもかなりの規模であり、体力と集中力を要するという。
しかし完全にこの曲の世界を理解し没入すればあっという間の40分でもある。
そんな域に到達しなければならないけれども、自分には達することができる気がしている。