これまで名ピアニストによる曲目解説や誌上レッスンなど、作品28を究める上できわめて有益なヒントを得てきたが、実際に自分で取り組んでみると、それらポイント以前に越えなければならない様々なポイントがある。
ここ1ヶ月自分で取り組んで来てみて、まだレッスンを受けてはいないのだが、レッスンで必ず師匠に指摘されると想定されるポイントが多くあるので、これらのポイントはレッスンを受ける前に解決しておかなければならない。
今回は1番から4番まで。
第1番 ハ長調
この曲の旋律は内声にある。内声をen dehors(浮き立たせる)ようにしようとするあまり、強くなりすぎてはいけない。そこで左手やソプラノを弱く弾く必要があるのだが、右手のソプラノは内声のオクターブ上の音をechoのように聞かせなければならないので、弱くし過ぎてもいけない。このバランスが重要。
第2番 イ短調
主旋律は右手なのだが、この曲は全体にくもった音で弾かなければならないので、あまりはっきりした音ではいけない。
また、左手のラインは決して途切れないように、かつ濁らないようにペダリングに細心の注意が求められる。
第3番 ト長調
左手の軽快なパッセージはあくまでも軽快に滑らかに弾かなければならない。イエルク・デームスのアドバイスのとおり、手首の位置を少し高くすると弾きやすいが、それでも滑らかに粒を揃えて弾くにはしなやかな指と手首と腕の使い方が自然にできるように弾きこまなければならない。
第4番 ホ短調
左手の和音は決してうるさくなって右手の邪魔をしてはいけない。しかし調性の変化に伴う色彩の変化をしっかり表現しなければならない。和音が変わった最初の音はややはっきりと、あとは響きに溶け込ませるように弾くのがよい。