以前このブログにも書いたテーマであるが、いかなるエクセレントカンパニーであろうとも不得手なことは新規事業の立ち上げである。
いやより正確に言うと、きちんと立ち上げることができないのである。
これは組織能力云々ではなく構造的な問題である。
先日、ある大企業の社長から新規事業立ち上げ支援のお題をいただいた。
その依頼を受け、提案を作成して経営企画担当役員に提示したところ、このような反応であった。
「これまで弊社内でも似たようなアイデアは出ています」
「売上100億円が見込める事業アイデアである必要があります」
「弊社の場合着手してもなかなか長続きしないのです」
「新規事業を推進する担当者が十分にいないのです」
などなど。
これはいわゆる「あるある」である。
やらない言い訳を並べているに過ぎない。そして、大企業の社員はやらない言い訳(決して「できない」とは言わないところがポイント)ができるほど(ある意味で)優秀なのである。
決してこれは皮肉ではない。組織は攻めも守りも必要だからである。
コンサルタントは当然ながら企業のこの本質を理解しておかなければならない。
新規事業とは定義により必ずしも得意でないことを手がけることである。
戦い方も異なるかもしれない。
今まで出会ったことがない敵に出会うかもしれない。
ということでこれも十分に組織力学的に説明できてしまう。
やはり構造的なのでありこれを克服するのがコンサルの技である。
新たな領域で最も効果的に可能な限りリスクを抑えて収穫を得るか。そこに最適解を見出す技である。