先日、製造業の今後を占うキーワードであるスマートファクトリーについて書きました。
日本の製造業にも、早くからスマートファクトリーに取り組んでいる企業はあります。
が、ちょっと待ってください。「スマート」になるのは「ファクトリー」だけでよいのでしょうか。
確かに工場内だけでまず生産効率は上がるでしょう。どのように生産性を定義するかにもよりますが、投入資源(インプット)に対するアウトプットが生産性の基本的な考え方ですから、需要を充足する限りにおいてスループットが上がれば生産性は上がるでしょう。あるいは無駄を排除することによって(原材料、エネルギー、人材、設備など)インプットを減らせば生産性は向上します。
そして生産性向上のボトルネックになっていたのが情報の欠如もしくは情報分析とそのフィードバックによるプロセス改善・改革にあったのであればデボトルネック(debottleneck)することによって効果が現れることでしょう。
しかし企業にとってゴールはそこではありません。事業価値の持続的な成長にあります。
所与の条件下において現状を最適化することは、それら所与の条件が将来的に変わらないということを暗黙的に前提としているということになります。が、果たしてそれら所与の条件は変わらないものでしょうか。それら条件が不変であるということは従前の市場・競合といった外部環境が変わらないということを基本的には意味します。
企業戦略の見直しそのものがここで必要になる訳です。
企業経営の根幹の問題に帰着すると問題解決が難しくなりそうですが実はそうではありません。
変われない原因は過度の分業にあります。そして過度の分業による現状の最適化マインドセットの硬直化にあります。
「製造業は変われる」と考える根拠の第1はこれです。
(続く)