コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

生産性が高まるオフィス(5)

シリーズ最後は自分自身が最も生産性が高まる、すなわちアイデアが浮かぶし、資料作成も捗る「オフィス」について述べる。

2つある。

一つは電車である。新幹線ではなく、空いている地下鉄とか私鉄である。これはなぜか?一つの理由は動いていること。そして短時間であること。さらに、あまり気が散らないことだ。新幹線や飛行機はだめだ。

もう一つは国会図書館である。膨大な情報が得られるし、得た情報から発想が広がる。そもそもいくら自分に与えられた問題が難問であっても、それについて未だかつて誰も考えたことがないというのは考えにくい。であればその道のエキスパートや先人が何を言っているかを当たるのが効率的だ。情報の探し方に長けている必要はあるが、それはこれまでのコンサルタントキャリアで培ってきたのでこれも自分の強みである。無からアイデアは出ない。

生産性が高まるオフィス(4)

具体的なアイデアとして思いついたのは和室である。

普段見慣れているしかし馴染めないガラスや金属や樹脂やコンクリートで明るい照明ではなく、対極的に草木の落ち着いた趣の空間、喧騒ではなく静寂、PCやスマホではなく紙と鉛筆か毛筆。

これは現代のビジネスパーソンにとっては非日常だが、時にこのような空間でゆっくりと時間を過ごし、瞑想のように沈思黙考するのだ。

誰が言った言葉かはわからないのだけど、「静寂と空間は内省を促す」というのは肌感覚としてある。

畳に座椅子でいい。障子から漏れる自然光。鳥のさえずりや水や風の音。

こういう環境こそ都会では得難いものだ。

電気は最低限あっていいが、電波は届かない。ここに居る間はスマホもPCも使わず、デジタルデトックス

どうせ提案するなら和空間を提案する。

提案

生産性が高まるオフィスとは(3)

前回はイノベーションを創出できるオフィスの再定義をすれば自家撞着にならない、ということを述べた。

ではどう再定義するか。コトを起点にするのである。従来のハコ(建築物)やモノ(家具や備品)ではない。

ちなみに私は建築専攻なのでハコモノ起点の考えには慣れ親しんでいる。

一方で経営コンサルタントとしてはハコモノは手段にしか過ぎず、あくまでもビジネス起点で考えている。

オフィスというより、この先はワークプレイスと表現すべきであろう。ワークプレイス=働く場である。

よくワークライフバランスというが、これはワーク(働くこと)とライフ(生活)を対峙させる考え方である。しかし、働き方が、時間と場所を含め多様化する、しかもそれが職種ではなく一個人の中でも多様化することによって、より柔軟に時間を有効活用できるようになる、これが昨今の働き方改革である。

いつでもどこでも働けるからこれまで以上に労働時間が長くなるということではもちろんなく、逆にいつでもどこでも自分の時間を持てるということでもある。管理する立場からしても、時間や場所の拘束ではない管理の仕方を求められるということだ。そして、それは単にテクノロジーの活用でできるようになるというのではなく、組織のあり方や方針、個人のマインドセットも併せて変えなければ実現しない。

きょうたまたま米国人と日本企業の時間の使い方について議論する機会があった。大企業はとかく会議が多い。会議には3つの目的がある。情報共有、アイデア出し(ブレストなど)、意思決定である。情報共有の会議は会議のための会議、主催者のための会議であって、単にメールで済むことばかりである。一方でアイデア出しや意思決定という付加価値創出の会議は少ないかあっても形骸化しているかファシリテーションができず機能していない。結果としてほとんどの会議は無駄な時間になっている。重要な意思決定や斬新なアイデアは会議以外の場で行なわれており、単なる承認かせいぜいチームビルディング(消極的な意味)の時間になっているに過ぎない。にもかかわらず会議の時間は長い。15分で済むものに1時間、2時間かけている。しかも膨大な(読まれない)資料の作成に膨大な工数が割かれている。

そもそもやるべきはこの膨大な非付加価値業務の見直しにある。働き方改革の大前提はまずここにあるのだ。現状やっていることを見直しもせず、テレワークだの何だのと号令をかけても意味は無い。

 

生産性が高まるオフィス(2)

前回は生産性を定義した。

日本では野中郁次郎先生の有名なナレッジマネジメントが人口に膾炙してから、知的生産性を上げるオフィスというものが研究され、様々な形態、或いは概念が提示され実験されている。

しかし未だ結論は出ていない。

否、結論は無いというのが結論であろう。

画期的かつ独創性が高くかつイノベーションを引き起こすアイデア💡は、そもそも「オフィス」では出ないからだ。オフィスとは従来から作業場であって、アイデアを出す十分条件ではない。

発想する場はむしろ予期できない。小説家しかり作曲家しかり。ビジネスでもそうだ。ゴロゴロ寝ている時、トイレや風呂、散歩中や旅行先かもしれない。

最近ではトラベリングワークなどという概念も出てきているが、では旅行すればアイデア出るかといえばそうではない。

その確率は上がるかもしれないが因果関係ではない。

ではそもそも「生産性が上がるオフィス」とは自家撞着なのだろうか。

オフィスの再定義をすれば自家撞着ではなくなる。発想法を含めワークスタイルとセットで考えればよい。次回はこれについて述べる。

生産性が高まるオフィスとは(1)

知的生産性が上がるオフィスとは何かについて考えている。

そのためにはまず知的生産性とは何かを定義する必要性がある。

生産性はシンプルにインプットとアウトプットの比とし、インプットを時間とお金(時間も金額換算できるが)とする。

ここまではいいとして、問題はアウトプットである。画期的独創的なアイデアが生まれることが目標関数としても、その画期性、独創性をどう評価するかが本質的課題である。

ここではイノベーションの核となるアイデアとしよう。破壊的なイノベーションイノベーションとは単なる要素技術ではなく、誰をターゲットにどういうソリューションをどうデリバーして収益を上げるかの事業モデルを組み立てられて初めてイノベーションとなり得る。

基本的なフレームワークをこう設定することして、そのようなイノベーションを設計する上でオフィスがどうあるべきかをシリーズで考えてみたい。続きは明日。

 

特級セミファイナル

8/18(土)は待ちに待った特級セミファイナル。

いつもの年なら会場に聴きに行くのですが、翌日が自分のファイナルのため、自宅で練習の合間にライブストリーミングで視聴。

例年なら自分の感想を書くのだが、今回は主観をはさまず事実関係のみ書くことにします。

 

演奏順は以下のとおり:

1.古海行子ふるみ・やすこ 20歳 

2.沢田蒼梧さわだ・そうご 19歳 

3.鈴木美穂すずき・みほ 23歳 

4.角野隼斗すみの・はやと 22歳 

5.秋山紗穂あきやま・さほ 20歳 

6.上田実季うえだ・みき 21歳 

7.武岡早紀たけおか・さき 22歳 

 

10:30から1番古海さんの演奏開始。演奏曲目は演奏順に:

 

2番手は沢田くん。演奏曲目は演奏順に:

 

3番手は鈴木さん。演奏曲目は演奏順に:

 

次4番は大学の後輩でもある角野くん。演奏曲目は演奏順に:

 

5番手は秋山さん。演奏曲目は演奏順に:

 

そして6番上田さん。演奏曲目は演奏順に:

 

最終演奏者は武岡さん。演奏曲目は演奏順に:

 

セミファイナル通過者は

1番 古海さん

4番 角野くん

6番 上田さん

7番 武岡さん

おめでとう㊗️

 

ファイナルは8/21(火)にサントリーホールで行われます。

 

久々のレコーディング

コンクール決勝を明日に控え、経験値を上げるためプロにレコーディングをお願いしました。

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場所はよく利用している池袋西口のベースオントップ。ピアノはヤマハのC6X。

テイク3でなんとか満足いく出来、というより現時点での自分のベスト。

12分の曲を集中して3回通すのはかなりきついですが、レコーディングというシチュエーションでないとなかなかこれだけ通すのも難しい。

普段は部分練習に徹しています。

きょうは無理せず、ピティナの特級グランプリセミファイナルをライブストリーミングで視聴したりゆっくり過ごそうと思います。

Society 5.0ではなくSociety 4.1(あるいは4.0.1?)

・・・というべき内容。インフレも甚だしい。●●x.0という表現は、そもそも大きく市場・業界が変わることを意味する。

マーケティング戦略の一環として業界関係者が言うならまだしも、政府が言うからには具体性はともかく、Societyがどう変わるかのかめざましいわかりやすいイメージが必要なのだが、「超スマート社会」ではまったくイメージできない。

この図がSociety 5.0を最もシンプルに示したもののようだ。この図で最も重要なポイントは「新たな価値」である。ところが説明には「高付加価値な情報、提案、機器への提示など」としか書いていない。価値を価値で言い換えただけの道義反復。これはやってはいけない表現である。しかも、ここには人が何をするのか、我々の生き方がどう変わるのかが書かれていない。単なる改善にしか見えない。ソフトウェアのアップデートで4.0から5.0に上がるのはメジャーアップデートである。単なる改善(bug fix等)では4.1か4.0.1であろう。

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ããã¾ã§ã®ç¤¾ä¼ã§ã®æå ±åæè¡ã¨Society 5.0ã«ãããæå ±æè¡

Whatが不在なのだ。Howばかりに終始している。ビジョン不在で具体策ばかり示しても意味は無い。具体策はここに示されている。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

自分が昨年から主査として進めている研究会のテーマであるヘルスケアについても、ここに書かれていることにまったく斬新さはないどころか、実現性も?のものもある。たとえばPHR

ビジョンが欲しいのだ。世界観。5.0というなら明確に現在の世界とは異ならなければならない。映画Lucyとは言わないまでもせめてTranscendenceぐらいの世界観は必須。

マイクロソフトの現在のビジョンの方が遥かに明快である。

策定者のイマジネーションの欠如が露呈。いやこれはオトナの事情なのだろう。くだらないオトナの事情を政府の科学技術政策策定の中心に据えている時点で日本に未来はない。

かえって国民の支持を失いたいとしか思えない、とまで言うと言いすぎかもしれないが、せめて失望させないでいただきたい。キャッチーを狙った陳腐なコピーを使わなければいいだけの話である。

「科学技術政策の基本的方向性」でいいではないか。

 

プロジェクトマネジメント力は稀少資源

企業の価値の本質は何か。稀少資源である。

他の誰にもできないことをやる、他の誰も提供しない価値を提供できる。

なぜ他の誰にもできないのか。それはその企業が他の誰も持っていない(稀少)経営資源を持っているからである。

経営資源は、知識、ノウハウ、プロセス、オペレーティング・メカニズム、など多岐に亘る。顧客基盤や顧客知識も経営資源である。

他の企業でも作れる製品、他の企業でも提供できるサービスであっても、顧客との信頼関係があれば優位性は築ける。

他の誰も知らないことを知っている(知識)、他の誰もしらないやり方を知っている(ノウハウ)、他の誰も持っていないあるいは他の誰よりも効率的な仕事のやり方(プロセス)、他の誰よりも優れた会社の運営の仕方(オペレーティング・メカニズム)、いずれも古今東西不変の競合優位性の源泉である。

そして、マイケル・ポーターが言っているように、マネのしにくい競合優位性の源泉ほどロバスト(頑健)であり、持続可能性が高い。

数年前から、「デジタル・トランスフォーメーション」とか「デジタル・ディスラプション」ということがビジネスの世界ではかまびすしく(喧しく)言われている。

しかし、これらがまたかつてのドットコムバブル(2000年頃、はじけたのでドットボム(dot bomb)と揶揄されたが)の頃と同じく、それがどういうことなのかリアリティを持って説得力ある形で説明されているのにお目にかかったことがない(かなり良い筋から常に情報を入手しているのにもかかわらず、である)。

確かに、テクノロジーで人の働き方は変わってきている。失われている職種もある。AppleiPhoneはコンピューター、家電、カメラ、オーディオ、ソフトウェアといった業種に大きな影響を与えている。したがってこれら影響を受ける業種の企業経営者や従業員にも大なり小なり変化をもたらしているし、場合によってはdisruptiveであろう。

ビッグデータやAIはどうか。AIとまではとても言えないが、RPA(robotic process automation)は一部の間接業務に関わる人員を削減可能にしているし、実際削減してもいる。しかし多くの業務はまだまだとてもRPAごときで置き換えらるものではない。

いまold world的業種の企業のデジタル・トランスフォーメーション的なプロジェクトを統括しているが、その企業のトップはAIやらRPAやらドローンやらを導入したいと言っているものの、では手始めにRPAを導入しようとしても、会社として明確に業務プロセス・業務フローを明確にできておらず、かなりの部分において属人的、暗黙知的な仕事の進め方をしているので、RPA導入を検討するならまずやるべきことは業務プロセスの定義るいは再定義である。このことは、いわゆる昨今のテクノロジー以前の、1990年代からのBPRをやろうとしても同じことである。

確かに技術は進化し、同じことをやるにしてもコストは大幅に低下している。その意味ではいくつかのテクノロジー導入のハードルは低くなっている。しかし、肝心の、何のためにその業務を行うのか、その業務の付加価値はどこにあるのか、が見えておらず、IT導入ありきでHowばかり洗練させてもあまり意味はないどころか、IT導入に係るコストに見合わない可能性すらある。

そして、確かに変化の速度は上がっているし、変化の多様性も高まっている。複雑性というと思考停止になりがちなのであまり使いたくはないものの、事業環境の複雑性は確かに従来に較べれば高まり、予測可能性は低くなっている。

したがって、従来型の組織構造、組織の運用の仕方ではagileに変化に適応できないことに異論はない。

ではどうすればよいのか。

最も有効なのは、従前の階層型組織からプロジェクト型組織への移行である。

ルーチン業務はますますテクノロジーによって自動化される。したがって間接部門は縮小していく(べき)。

製品ライフサイクルが短くなり、次々に訪れる変化に対応するには、その時々の課題解決プロジェクトを立ち上げ、回していくしかない。いちいち組織の箱を作っては変え作っては変えということでは対応できない。しかも、その課題は毎回変わるから、特定の専門知識を持った人材をいちいち雇って対応する訳にもいかない(そもそも採用の難度が高いし、3年後にはその専門知識は要らないかもしれない。たとえばコンピュータプログラミング)。

我々コンサルティング業界の仲間でいつも話題になるのは、このようなプロジェクトをマネジメントできる人材というのは、コンサルティング業界ですら稀少資源であることだ。プロジェクトマネジメントを専門とし、そのスキルを社内で育成し続けているにもかかわらずである。

プロジェクトマネジメントの難度は高い。多様な人材から成るチームのポテンシャルを最大限に引き出し、限られた期間で迅速に、問題の定義(これが重要)から解決策の立案・実行までデリバリーするのは、これ自体が特殊なスキルである。

わかっている企業にはこのプロジェクトマネジメント力が貴重でありしたがって価値があることがわかっているからコンサルティングファームを起用するが、わかっていない企業(ほとんどの企業)は、わかりやすい専門知識、業界知見などを重視するからコンサルティングファームを雇わないか、雇っても価値を出せない。

デジタルトランスフォーメーションはデジタルとつこうがつくまいが企業変革であり本質は変わらない。その成功はプロジェクトマネジメント力にかかっている。