数年前から注目しているビジネスがあります。
「不満買取センター」という会社が始めた、個人消費者の企業や製品、サービスへの不満を買い取るビジネスです。
なぜこれがビジネスになるのでしょうか。それは大きく2つのニーズをマッチさせるからです。
消費者は製品やサービスに不満があり、それを聞いてもらいたいが、企業のカスタマーサポートでは取り合ってくれない(ことが多いという印象をもっている)。
企業側は、(わかっている企業は)消費者の不満にこそ製品・サービスの改善によって顧客をつなぎとめる(顧客ロイヤリティを高める、離反を防止する)、或いは新しい顧客を獲得する、新製品・新サービス開発のヒントを得て成長につなげる、といったチャンス(市場機会)を見出すからです。
さて実際の仕組です。
消費者は、まず不満を述べるチャンスが得られます。専用サイトに投稿するだけです。投稿するとポイントがもらえます。ポイントが500以上溜まるとAmazonギフト券などに交換できます。つまり不満を言うとお金になるのです。小銭を稼ぎたいニーズに応えています。
会員登録が必要ですが、既に2016年1月時点で25万人が登録し、延べ200万件以上の不満が投稿されているそうです。
企業は、自社の製品やサービスに関する評価のレポートを購入することができます。VOC分析レポートです。VOCとはVoice of Customer、即ち顧客の声です。
ここで活躍するのがAI(人工知能)です。自然言語解析という手法によって、顧客の生の声のデータから、意味のある情報を得ることができ、サービスの改善などにつながります。
会社のウェブサイトでは、新築マンション購入に関する自然言語解析の例が示されています。
また、新製品開発をこの会社と共同で行なうサービスもあり(もはや経営コンサルティングですね)、実際に新製品を開発・販売しヒット商品を生んだ実績もあるようです。
ぼくとしては、さらに様々な企業のコールセンターや営業・マーケティングのオペレーション改善や改革にもつなげられると思っています。データアナリティクス、ビッグデータに基づく新たな専門コンサルティングの領域ですね。
これからが楽しみなビジネスです。