大手のコンサルティングファームでは新卒も中途も採用するが、採用した若手を如何に「レバレッジ」できるかは、ファームのエコノミクスを維持する上で必須であり、プロジェクトを効率的効果的に遂行するかを左右する。
そしてこの「レバレッジ」はプロマネ(プロジェクト・マネジャー)が行なわなければならない。
若手(必ずしも若くない場合もあるので、この文脈では新人、あるいはシニアなポジションでもまだ入社して日が浅い人を指すことにする)は、まだコンサルタントとしての基本動作を身に着けていないので、ひとつひとつ基本動作を学びながら成長していく。
新人の武器はしたがって、知識やスキルではなく(いくら優秀な学生や前職で実績を挙げた中途でも、そのままでは使えない)成長意欲である。
プロマネはこの成長意欲を損なうことなく、プロジェクト遂行に必要な作業を、若手のその時点での能力に合ったまとまりとレベルに分解して若手に指導しながら与えることができなければならない。これがコンサルの技である。
もう少し具体的に述べると、プロジェクトの成果物を創出するために答えるべき論点を設定し、論点に対する仮説を構築、そして仮説を検証するために必要な作業を洗い出し、その作業と進め方をチームとして最適に分担し期間内に完遂できるような単位に設計する(ワークプラン)ことである。
これは言うに易しであり、これが常にできるプロマネ人材というのは、コンサルティング業界に限らず、どの業界でも通用する人材であり、最も稀少価値の高い(あまり稀少価値が高いことは良いことではないのだが)人材である。
コンサルティングファームの若手はおそらく5年もそのファームにいれば長い方なので、この期間にこの価値の高いプロマネ力を実践を通して身に着けるのである。
若手はプロマネにレバレッジされつつも、プロマネの技を盗む。できるプロマネからもできないプロマネからも学ぶことはできる。
できるプロマネには技を盗めるし、できないプロマネについたら自分がストレッチしてプロマネ実践の一部を担えるチャンスである。