おそらく私の1,000倍(誇張ではない)は音楽を理解している師匠3によると、楽曲の研究に当たっては常に複数の版を参照するのが良く、また一般に出版年月が新しいものほど信頼できる(もちろん例外はある)ということである。
自分はショパン前奏曲集作品28は専らパデレフスキ版で勉強しており(かつては春秋社版だった)、「実用的に」まったく不自由はしていない(パデレフスキ版に違和感のある記載はない)のだが、それでも新しい版が出たからにはチェックしなければと思い購入した。
ちなみに出版されたのは2016年なのでつい最近という訳ではないが、作品28に本格的にとりかかったのはこのつい数か月のことなので。
内容よりまず目を奪われるのは装丁である。
ピンク、それもショッキングピンクである。
攻めている。
いやしかしそれは本質的ではない。この版は演奏法に関する解説が充実している。
冒頭には装飾音、フィンガーペダリング、テンポ等に関して適切な助言がなされている。
また、巻末には曲ごとに自筆譜の解釈が詳しく書かれている。たとえば19番では自筆譜におけるペダル指示の不統一をどう解釈するかについて詳細な説明がある。これは大変参考になる。