昨年秋から主宰している社外研究会の調査の一環としてこの本に目を通している。
2003年に出版されたものなので、ここ最近の情勢は勘案されていないが、「失われた30年」と日本の今後の針路を考える上では、ひとつ変わった(普段考えていない)視点も必要かと思い、あえてジャーナリストの視点がどういうものかみてみた。
櫻井さんが指摘するところの七つの大罪に、一章ずつ費やされている。順に挙げると:
- 日朝交渉・過ちの歴史
- これが本当に”改革”なのか 道路公団民営化
- 国家は喪失したのか 国際社会で際立つ日本の脆弱
- ”人権”とは何か 情報三法の実態
- ニセモノの”友好” 日中国交回復30年の欺瞞
- 病が私たちに教える多くのこと
- 狂牛病対策はなぜ遅れたのか
いずれも問題といえば問題かもしれないが、現在の日本が直面している重大な課題である、財政、産業競争力、社会保障(医療・介護・年金)、が重大な課題となることを許した立法と行政に罪はないのだろうか。
特に、人口動態という最も予見可能性の高い長期トレンドがドライバーである社会保障とその財源の問題は、優秀な官僚ならとうの昔に(30年以上前に)把握することができ、したがって施策を講ずることができた問題である。
産業競争力はたしか現政権の三本の矢の一つではなかったか。金融では日本の国際競争力を高めることはできない。