コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

【ランニング】音楽を奏でるように走る

ランニング歴が浅い自分が速くなるには他の領域で学んだ経験を活かすと良いのではないかと思いつきました。
とは言っても専門的に学んだ訳ではないのですが、少なくともランニングよりははるかに長くやっている音楽、それもピアノ演奏のアナロジーで考えることが得策ではないかと!
しかもこういうアナロジーを語っている人はいままでいないのではないか?

史上初??

ピアノを演奏すること、それも良い演奏をするということは、楽曲のポテンシャルを最大限引き出すことができるということです。
ここで楽曲をランニングの一つのエピソードと捉えます。
ここでいうエピソードとは、1,500mでもいいし、フルマラソンでもいいですが、ランニングの一つのセッションです。
レースであってもいいし、普段の練習でもよいです。

さて、ランニングの「エピソード」のポテンシャルを最大限引き出すということは、どうい考えればよいでしょうか。
最もわかりやすいのは、PB(personal best)を出すことでしょう。しかし、プロランナーではないほとんどのランナーにとっては、タイムだけを追求しても苦しいだけです。もちろんタイムが短縮できればうれしいですが、私がランニングコーチから言われた最も重要なメッセージは「タイムはあとからついてくる。楽しく走ることが先決」であり、それを金科玉条にしています。なのでぼくに言わせればタイムではありませんし、そもそも日々の練習で毎回PBを更新することを期待するべきではありません。

ではなんでしょう。
それは、その時点で自分が持つ能力をすべて引き出すエピソードのイメージを抱き、即興的な要素も含めそのイメージとそれを実現する自分自身に確信をもって実行することです。

エピソードのイメージとは音楽の言葉でいうとどのようなものになるのでしょうか。
たとえば、5㎞(5000m)走ることを考えてみましょう。このエピソードは最も短くて13分(現在の5000mの世界記録は2004年にベケレが記録した12分37秒35・・・)、自分であれば先週22分42秒だったので、レベルによって長さは大きく(!)変わりますが、10分から30分の長さというのはピアノ曲にはよくある長さです。そして、ピアノ曲には形式というものがあります。
ピアノの楽曲でバロックから現代まで採用される形式にソナタ形式がありますが、一般的にはテーマが提示される提示部、テーマが展開する展開部、そしてテーマが元の形で再度現れる再現部、そして終結部という形をとります。
レースで言えば序盤、中盤、終盤、フィニッシュにざっくり対応します。
たとえ同じペースでラップを刻んだとしているとしても、ランナーにとってそれぞれの局面の状況(身体的、心理的両面において)変わります。そして集中力は大切。
音楽も同じ。演奏者は楽譜に忠実に演奏しながらも、時間芸術として唯一無二の即興性を発揮します。集中力は同じく大切。

いい演奏をするということは、とても多くの要素が複雑に絡み合いますが、簡単に自分なりに5大ポイント(特にアマチュアにありがちな誤りを克服する意味で)を挙げるとこういうこと:
1. 作曲者の意図をしっかりと汲みルールを守ること
2. 楽曲全体のイメージをしっかりと描き、絶え間ない変化・展開と流れを決して殺さないこと
3. 手や指先ではなく全身で統合された最小限の動きで自然に美しい音を出すこと
4. 自分の身体的、メカニカルな限界を言い訳にしないこと
5. 自分の音をよく聴きつつも、現実を克服すべく丹念に練習を重ね、イメージした響を作り上げること

これをランニングに置き換えると:
1. 人間にとって自然な走りというものはバイオメカニカルにどういうテクニックの集合であるかを理解すること
2. 自分がその距離のランニングをどう組み立てるか(自分にとって最適なペース配分で、どういうマインドセットで走るか、自分にとっての歓喜の走り)のイメージを持つこと
3. 腕の振り、呼吸、前傾、骨盤の傾斜と回転、接地等個々の要素に過度に囚われず、またスタティックなイメージではなく、統合されたダイナミックなリズミカルな動きで美しく最も効率良く推進力を生み出し続けること
4. ただ単に苦しい辛いと思うのではなく、その苦しさ辛さを感じる原因は何か、克服するにはどうするかを建設的に考えること
5. 自分の身体と心の声をよく聴きつつも、あきらめることなく建設的に練習を重ね、イメージした走りを作り上げること

そして、日々の練習は1~4のどれを高めるためにやっているか(複数の目的があっても勿論OK)を明確に意識すること。
同じメニューであっても目的はいつも同じとは限りません。
たとえばぼくは今朝ショートインターバルとミックスインターバルをやりましたが、主な目的は1と4でした。特に、自分が「走るのが楽しくて仕方がない!」という気分で走るとどう走りが変わるのか、を垣間見ることができたのは本日の収穫です(想定タイムよりも体調を考えるとキロ20秒は速かった)。
ペース走であれば2が主な目的になるかもしれません。

まだ初心者なのでこれから考えは変わっていくと思いますが現時点の考察です。ではまた。