例によって図書館で借りてきたホリエモンの本が(意外にも)面白かった。
儲けたいなら(ホンモノの)科学、それはきわめて正しい。しかも長期投資であればなおさらである。しかしタイミングと評価が難しいのも事実である。
現下の再生医療ベンチャー株のように、まだ製品を上市するには程遠い状況ながら、臨床開発段階に入っただけでとんでもなく高い時価総額になっているものが米国でも日本でもいくつかあります。だからといって前臨床段階や、まして大学のラボで有望な結果が出たからというだけで投資するのもかなりリスクはあります。
この本はホリエモンと成毛真さんの対談形式になっているのですが、この二人がこの「科学こそ価値の源泉」論を口角泡飛ばしながら喧々諤々やっている様子が字面からだけでも伝わってきて面白いです。
その中に、思い切り頷きたくなる主張がたびたび出てきます。
たとえば、
日本は政治家も官僚も企業もトップは文系ばかりだからだめなんです。
中国なんかトップはみんな理系ですよ。
ぼくは両断論法が嫌いなのでいわゆるこの『理系だから、文系だから』論法は使わないのですが、事実と共に語るのであれば許容するし、まさに普段から実感しているところです。文系のトップに技術的な説明を(かなり細部を捨象しデフォルメしてでも)しなければ投資ができない日本企業を目の当たりにしています。
もうひとつあります。
最近の若い人は科学の常識が驚くほどないですね。ぼくらが子供の頃はブルーバックス(講談社のあのシリーズです)を読んでたし。そういえば最近ブルーバックスつまらなくなりましたね。
これも膝を打ちたくなります。ほんとに大衆に迎合というかハウツーものぽい「軟派な」ものが増えました。
ぼくも子供の頃はブルーバックスを好んで読んでいました。夢中になって読んだものもあります。いずれも硬派なものばかりで、名作と呼ばれるものも多いです。
いくつかご紹介しましょう:
これを読んだのは小学生の時でした。事象の地平面というのがあってそこから先にはブラックホールの強い引力で確実に引き込まれていく・・・というのにみぶるいしたものでした。
科学による真のパラダイムシフトの名にふさわしいのは何と言ってもアインシュタインの相対性理論でしょう。大学の頃、特殊相対性理論の勉強会を友人とやったことがあり、理論的には極めて難しいものですが、わかりやすく解説してくれています。
これを読んだものも小学生の頃だったと思いますが、新聞やテレビなどで使われて居る統計数値には必ず意図があって、また必ずしも正しい見せ方でなかったりすることもあるので注意することが重要なのだな、と思わされたものです。
ゼロも無限もそれが何かと問われると実は答に窮するものですが、めくるめく数論の世界に引き込まれていく気がしたものです。
これは比較的最近の本です。単に難問を紹介するだけではなく、その問題が現代数学の最先端において意味あるものであることを教えてくれます。
同じことを考えておられる方もいるのですね!
他にも「四色問題」(一松信)といった古典から、「ココロの盲点」(池谷裕二)など最近でも名著の名に値するものが時折出てきています。
古い本で絶版になってしまったものもありますが、これからも講談社さんには時代を超えて読み継がれる良著をぜひお願いしたいです。