ますますリヒテルにのめりこみ気味のため一冊書籍を購入。
ここにはリヒテルの音楽観が(翻訳ではあるけれども)生々しく語られている。
たとえば、最も宗教的な作曲家は誰かと聞かれたらそれは(JS)バッハではなく、フランクだというのだ。特にフランクのピアノ五重奏曲は室内楽におけるバッハのマタイ受難曲(St. Mathew Passion)であるというのだ。
あらためてじっくり聞いてみよう。
また、今自分がずっと取り組んでいるスクリャービンのソナタ第7番「白ミサ」についても、リヒテルはスクリャービン弾きとして彼自身一目置いていたソフロニツキーとよく語り合ったという。リヒテルがソフロニツキーの前で白ミサと黒ミサ(ソナタ第9番)を弾いた後、ソフロニツキーはリヒテルが弾く白ミサの鐘の音に不安な雰囲気が不十分だとほのめかしたという。曰く「世の終わりが感じられない。近づいているはずなのに」と。なぜかというリヒテルの問いに対して続けて「このソナタは、黙示録の第四の騎士だ。ここに“白ミサ”は聞こえない。第四の封印が開かれ、青白い馬に乗って”死”が現れる」と答える。
この本を読んでいると、少しリヒテルとの距離が縮まる気がする。