コンサルファームでなくとも就職試験でフェルミ推定が使われる時代になったが、Googleの人事がフェルミ推定は思考力を測ることはできないと宣言して一部で物議をかもしたらしい。
自分も面接の際にフェルミ推定の問題を出すことがあるが、それはやはり思考力を把握するためである。それは有効な手段だからである。
ある市場の規模を問う場合、目的とする量が単純に、たとえばユーザー数とユーザー単価に因数分解できるとしても、ではユーザー数はどう推定するか、ユーザー単価をどう推定するかが問題となる。
ユーザー数の推定は、どういう消費者セグメントを対象とするか、市場の切り分け方が必要だ。単にデモグラ(年齢、性別)とは限らない。
ユーザー単価の設定も、実はユーザーセグメントと無関係ではない。そして、非常識な単価を設定しないよう、一般常識も問う。
ここまでできて掛け算と足し算をしても、それで終わりではない。ボトムアップで過大評価しているかもしれない。
トップダウンでおさえる(蓋然性を検証する)必要もある。
我々コンサルタントが実際にフェルミ推定を使う時は、限定的な情報から如何に信憑性の高い結論を出すか、そのためには何を知ればいいかを特定するために行うので、パラメータの設定と、複数のアプローチを組み合わせてtriangulate(三角法的に正解の範囲を絞り込む)する。必ずしも一つの決定的な解法がある訳ではないからこそ深い思考力が問われる。
フェルミ推定が無効なのではなく、その意義と実際の使い方を念頭において使えば、思考力を試す有効な方法となる。
面接官の側に思考力が無いとこれはできない。