コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ピアノ

ショパン前奏曲集作品28(27)下田幸二氏著「聴くために 弾くために ショパン全曲解説」

ピアニスト下田幸二氏は、「聴くために 弾くために ショパン全曲解説」を著している。本棚の片隅にあったものを引っ張り出して前奏曲集作品28の解説を読んだところ、これが短いながらも寸鉄のごとくこの作品の魅力と意義を伝えているのでここに引用する。 we…

ショパン前奏曲集作品28(26)チュートリアル動画

Youtubeは音源が充実しているのみならず、レッスン動画(チュートリアル)も充実している。 少し前から取り組んでいるスクリャービンのエチュード作品42第5などは、あのナウモフ教授のマスタークラスの動画もあったりする(ロシア語、英語字幕)。 ショパン…

ショパン前奏曲集作品28(25)あえて抜粋するとしたら...

作品28は全曲で1曲と主張してきているが、コンサートなど公開演奏の場でなかなか40分確保する機会はないので、作品28を弾くとしたら抜粋するしかない。 そこであえて抜粋するとしたらどういう組み合わせがよいか考えてみる。 これまで公開演奏は2回やってい…

ショパン前奏曲集作品28(24)往年の名ピアニストの演奏

コルトー、アルトゥール・ルービンシュタインなど往年の名ピアニストの作品28全曲をあらためて通して聴く。 この曲集を聴くときは必ず全曲通して聴く。 曲想のコントラストや曲間もこの作品の重要不可欠な要素だからである。 彼らの演奏を聴いていると、果た…

ショパン前奏曲集作品28(23)楽曲分析サイト編

これまでWikipedia英語版を除き、日本語の文献を紹介また研究してきたが、ほぼ主要な日本語情報源はあたったと思われるので、これからは海外(英語に限らず)をあたっていくことにする。 まずはFred Yuという人による全曲の簡潔な譜例付の解説サイト。内容的…

ショパン前奏曲集作品28(22)この曲集の魅力

少なくとも一般的に人気のある作品ではない。 ショパンのピアノ曲人気ランキングで上位に来ることはない。 たとえば子犬のワルツ、英雄ポロネーズ、黒鍵や革命のエチュード。 あるいはソナタ3番やスケルツォ2番や3番、バラード1番などと較べて、長大であるの…

ショパン前奏曲集作品28⑳弟子から見たショパン

ショパンを演奏する上でとても有益な手がかりになる一冊がある。 これである。 p115〜に、各曲の解釈ということで弟子たちの貴重な基準がある。 レリュード変イ長調作品28の17ある日のこと、わたしがプレリュードの17番を弾いていると、デュボワ夫人が、ショ…

ショパン前奏曲集作品28⑲旋法性の研究

ショパン前奏曲集作品28に関する文献を引き続き検索していたところ、素晴らしい研究論文に出会った。 昨年度の日大芸術学部博士請求論文、「フレデリク・フランチシェク・ショパンの《24の前奏曲》作品28にみられる旋法への傾斜」と題された論文である。 先…

ショパン前奏曲集作品28⑱アゴーギク

研究は続く。 最も嫌われる演奏は、「自分勝手」に聴こえる演奏である。自分勝手に聴こえる理由はいくつかあるが、テンポの揺らし方に説得力がない、すなわちやり過ぎたり、遅くすべきところで遅くしない、速くすべきところで速くしない、ことはかなりマイナ…

ショパン前奏曲集作品28⑰各曲の難易度

祝!1,000投稿! 今回は避けて通れない個々の曲の難易度について書いてみる。 個別に断片的にどの曲が難しい難しくないという意見はよく聞くが、全曲の難易度を示したものはHenleによるものぐらいであろう。 Henle社によると、各曲の難易度は以下のとおりで…

ショパン前奏曲集作品28⑯和声分析

熊本大学の中山孝史先生によるショパン全作品の和声分析は労作であり、ショパン作品のアナリーゼの際には必ず拝読させていただいているが、プレリュードについても当然参考にする。 論文のリンクはこちら: https://ci.nii.ac.jp/els/contents110000954654.p…

ショパン前奏曲集作品28⑮楽曲解説発見

楽曲解説のまた別のバージョンを発見したのでここに引用する。 草間眞知子氏による、「ショパン作曲《24のプレリュード 作品28》の音楽的表象の図式的表現の試み」(広島大学教育学部紀要第二部第46号、1997年)という論文からのものである。 全曲について縦…

ショパン前奏曲集作品28⑭演奏上注意するポイント

今回は、実際に良い演奏にすべく、これまで自分が受けたレッスンで指摘されたポイントや重要な注意事項挙げてみる。 全曲に共通するのはポリフォニーである。 他のショパンの曲もそうだが、バッハへのオマージュであれば尚更である。可能な限り立体感を、遠…

ショパン前奏曲集作品28⑬

今回は音源について。 ショパン前奏曲集作品28は、コルトーに始まり数多く(正確に何人かはわからないのだけど)のピアニストが録音を残している。 このサイトにはなんと32名のピアニストの録音の評価が記述されている力作である。自分より遥かにこの曲に入…

ショパン前奏曲集作品28⑫

「レコード芸術」誌2015年10月号にピアニストの下田浩二氏が連載「ピアノ解体新書」第58回に「マヨルカ島で生まれた24の真珠」と題してショパン前奏曲集作品28の解説を簡潔に書かれており、これが素晴らしいのでテキストのみ引用させていただきたい。とても…

ショパン前奏曲集作品28⑪

前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。個々の楽曲解説は今回が最終で、21番から24番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 第21番 変ロ長調(B flat major) Cantabile、4分の3拍子、59小節 13番同様ノクターン風の曲想。伴奏形が波…

ショパン前奏曲集作品28⑨

前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。今回は13番から16番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 第13番 嬰ヘ長調(F sharp major) Lento、4分の6拍子、38小節 ノクターン風の穏やかな曲。 コルトーは異国の地にて星降る空の下遠く…

ショパン前奏曲集作品28⑧

前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。今回は9番から12番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 第9番 ホ長調(E major) Largo、4分の4拍子、12小節 付点リズムを多用した荘重な曲。しばしばこの付点リズムの奏法について議論される…

ショパン前奏曲集作品28⑦

前回に続き個々の楽曲解説を試みる。今回は5番から8番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 第5番 ニ長調(D major) Allegro Molto、8分の3拍子、40小節 両手で半音階動機を織り交ぜたアルペジオが繰り返される無窮動曲。レガート奏法な…

ショパン前奏曲集作品28⑥

今回から個々の楽曲解説を試みる。今回は1番から4番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 第1番 ハ長調(C major) Agitato、8分の2拍子、34小節 前奏曲集の第1曲として如何にも前奏曲あるいは序曲的な色彩の強い曲。 左手の三連符に導か…

ショパン前奏曲集作品28⑤

ショパン前奏曲集作品28は難曲である。 ショパンが作品10と作品25の練習曲集を発表した当時、あまりに難しいという批判を浴びたし、実際に古今東西のピアニストにとっても難曲であることは間違いない。 メカニカルな面だけをとっても、ショパンの作品の美し…

ショパン前奏曲集作品28④

今回は楽曲解説。個々の曲については次回以降にゆずる。 既にこの曲(曲集)については多くの方々が解説を書かれているので、この記事ではそれらの情報を「いいとこどり」させていただき、よりコンプリートなものにしたいと思う。 なお、個々の事実の確認に…

ショパン前奏曲集作品28②

前回に引き続き、ショパン前奏曲集作品28に書いてみる。 この曲は予てより多くの音楽研究者が、一つの見方としては、ショパンが敬愛していたバッハの平均律クラヴィーア曲集に倣い、全ての(24の)調性を、ハ長調(C dur)で出発しながらも、しかしバッハの…

ショパン前奏曲集作品28①

自分にとってショパンの前奏曲集作品28(全24曲)は全ピアノ作品中至高の作品である。 これまで1-12番とか、16-24番とか部分的にコンサートや勉強会で弾いたことはあるが、全曲通して公開の場で演奏したことはない。が、いつか全曲(というか自分にとってこ…

ショパンエチュード25-6の練習法〜目指せスルタノフ〜

約10年前にピアノを再開してからぼちぼちやってきたショパンエチュード作品25第6番、いわゆる「三度のエチュード」は、10-1、10-2、25-8と並びショパンエチュードの中でも難曲とされているが、特にこの中でも10-2と並ぶ難曲である。 1.なぜ難曲なのか この…

不器用な左手

ピアニストは大抵がどちらかといえば右手の方が器用であろうと思う。 バッハの曲やフーガおよび左手が主役の曲などを弾く機会より、高音部に旋律があり低音部に伴奏がある曲というものを弾くことがおそらく多いであろうし、どうしても神経は歌う旋律に集中す…

ベートーヴェンピアノソナタ第30番作品109第三楽章

主題と6つの変奏からなるこの楽章を目下研究中です。 主題。四声体。響のバランス。 第1変奏。カンタービレ。 第2変奏。ピチカート。 第3変奏。軽快に。デュナーミク。 第4変奏。流麗に。掛け合い。 第5変奏。掛け合い。 第6変奏。内声とトリルのバランス。

大胆さと自己不信払拭というスキル

論理的思考力に強く、博覧強記で、かつ十分な訓練を積んでいても、仕事でもピアノでもそれではスキルセットとして十分ではない。 欠けているのは大胆さ、boldnessだ。 boldnessはrecklessness(向こう見ずであること)とは異なる。 結果を求めるからこそ大胆…

松本和将レクチャー聴いてきました

ピアニスト松本和将さんがチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番のレクチャーをされるというのでカワイ表参道パウゼに足を運んだ。 約2時間ノンストップの熱のこもったレクチャー。 最初の1時間はチャイコン1楽章。自分が漠然と抱いていた練習上の課題が次々に…

日本音楽コンクールピアノ部門第3予選

午前中は聴けなかったが、午後からトッパンホールへ。 しかしなんと当日券完売。 今年は例年と異なり大人気。空席待ち整理券をもらうものの14席空席が出ないと入場できない。 1時間待って諦めかけて帰ろうとしたらなんと知り合いに遭遇。もう4人聴いたので疲…